デスクトップ仮想化は、システム運用管理コストの削減、情報漏えい対策、ワークスタイル変革といった企業のIT課題をコストを抑えて解決する技術の1つだ。
現在の企業ITの課題はシステム運用管理コストの削減と情報漏えい防止などリスク管理が主要な2つ。それに加えてモバイルコンピューティングや在宅ワークを始めとする「ワークスタイルの変革」という新しい視点でのIT環境が求められるようになった。しかしこれら3課題は相反する要素があり、コストを抑えて全て実現することが難しい。その解決に向けて昨今注目されている技術の1つが「デスクトップ仮想化」だ。
既にキーワードとしての認知度は高いものの、実際に導入議論を始めると、人によってイメージが違うことに驚くのが「デスクトップ仮想化」だ。ただし課題感はおおよそ共通している。
これらが従来のデスクトップ環境における主な関心事といえるだろう。現在では、慢性的な人材不足を背景に、単に業務の要請からのテレワークではなく、ワークライフバランスの調和を主眼にした在宅勤務、サテライトオフィス、モバイルワークやBYOD、さらに職場環境改善のためのフリーアドレスといった新しい働き方のサポートも重要な経営課題になっている。
こうしたニーズに対応するITソリューションは1つではないが、クライアント環境を変革していくことは不可欠の条件になる。そのために最有力な選択肢の1つとしてデスクトップ仮想化が注目されているわけだ。
その方式には幾つかあり、選択に迷うことは少なくない。まずは、デスクトップ仮想化技術以外も含め、旧来の物理的なクライアント端末運用とは異なるクライアント環境の種別について整理しておこう(図1)。
図1に見る通り、デスクトップ仮想化にはVDI方式とSBC方式の2種がある。どちらもコンピューティングそのものはサーバ側で行い、ユーザーデバイスにはPC画面だけが転送される。ユーザーは手元の画面を見ながらキーボードやマウスでアプリケーションを利用するイメージだ。USBデバイスなど外部接続機器も、方式に対応していれば利用できる。
なお「画面転送」といっても実際は画面だけでなく、マルチメディアデータやUSBデバイスの制御データ、キーボード/マウスの入出力データなど、さまざまな情報が転送されている。そのためのプロトコルはマイクロソフトならRDP、CitrixならICA/RDP、VMwareならPCoIP/RDPを用意しており、それぞれの転送効率は技術革新により従来よりも大きく進歩した。
ネットワーク帯域によるレスポンス速度への影響は少なくなり、物理サーバを適切にサイジングすればレスポンスの遅延は回避できることが多く、現在ではあまり問題視されなくなっている。
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