どの名刺管理ツールが自社に最適なのか。ツール選定時に注目したい細かな機能や提供形態、サービスメニューの違いなどを、タイプの違う2種類を比較しながら解説する。
名刺管理ツールの多くは機能の拡充を進め、基本機能にはそれほど大差はないものの、自社の名刺管理ツールにおける独自の使い勝手を打ち出して差別化を図っている。今回は名刺管理ツールを「選定」するときに注目したい、細かな機能の違いや提供形態、サービスメニューの違いなどに触れ、自社の目的に合った製品選定ができるよう解説する。
ユニークな電子文具を多く開発しているキングジム。「テプラ」や「ポメラ」で有名な同社が提供する名刺管理ツールは、その切り口が「ガジェット」というところが大きな特徴だ。基本的に個人利用を前提とした製品群だが、使い方によっては小規模ながらデータの共有も可能になる。同社の製品群は、名刺管理ソフト「DA-1」を中心としてそれぞれ連携しながら利用できるのが強みだ。
PITREC(DNH20)
「PITREC(ピットレック)」は、名刺を二回りほど大きくしたサイズの本体に液晶ディスプレイ(タッチパネル搭載)と小型カメラを内蔵するガジェットだ。本体端にあるスリットに名刺を1枚セットし、内蔵カメラで撮影して名刺を画像として保存。同時に文字情報をOCRによってデータ化して登録する。
データは別売りのmicroSD(2GB)を使用すれば約5000枚の名刺データを保存できるので、多くの名刺データを持ち運び、名刺交換後すぐにデータ化するというような使い方ができる。ユーザーが自分用に1台所有して運用するというのが想定される利用シーンだ。
BiZrage(DNX100)
「BiZrage(ビズレージ)」は、複数枚(最大約15枚)の名刺を連続して両面スキャンし、専用のPCソフトにデータを転送できるガジェットだ。PITRECは名刺をデータ化するのに1枚ごとの撮影が必要になるが、ビズレージは連続スキャンで名刺のデータ化が可能となっている。
PITRECは個人運用が基本だが、BiZrageの場合は部署やシマの端に置いておき、社員が帰社すると同時に、その日交換した名刺をすぐにデータ化するというような使い方ができる。PITRECはそれ自身に名刺データ閲覧機能が搭載されているが、BiZrageの場合は名刺データ(最大400枚)を内蔵メモリに保存し、名刺本体(最大800枚)を保存ボックスにストックする。名刺データは、名刺管理ソフト「DA-1」(詳細は後述)を使って閲覧したり整理したりといった活用ができる。
MEQRU(MQ10)
「MEQRU(メックル)」は、大きなダイヤルが特徴的な名刺管理ガジェットだ。本体にはスキャナーが内蔵されていて、名刺を1枚ずつスキャンして画像データ化する。この本体ではOCRは行われず、ユーザーがスキャン後に会社名や氏名など好みの分類方法で登録し、それで検索するというシンプルな設計になっている。名刺データを「DA-1」に転送し、そこでOCR処理をすることで自動でデータを振り分けることもできる。机上におく名刺スタンド、名刺帳のような使い方ができるだろう。
デジタル名刺管理ソフト「DA-1」
上の3ガジェットで読み込んだ名刺データを管理し、編集できるソフトが「DA-1」だ。インストールしたPCに各ガジェットをUSB接続してデータを転送すれば、DA-1で一括管理することができる。データの整理やOCR処理などが可能な他、例えばBiZrageで読み込んだ名刺データをPITRECやMEQRUへ転送して利用するといった使い方もできる。
Windows PCまたはMacで動作し、名刺データをNASなどで共有すれば複数のユーザーで名刺データを共有することもできる。またスマートフォン対応アプリ「DA-1 mobile」を利用すれば、スマートフォンで「DA-1」のデータを持ち出して活用することもできる。
DA-1を中心に各ガジェットを活用したこの名刺管理方法は、Sansanのような大規模な組織にも対応する名刺管理ツールに及ぶほどの機能はない。しかし名刺管理を行う社員それぞれが自分の使い方に適したガジェットを使いながら、必要に応じて組織でも名刺管理を行う、というような小規模な職場ならではの柔軟な名刺管理ができる仕組みといえるだろう。
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