一方、大企業では既にメーリングリストやグループウェア、文書管理などを導入・活用しているところが多い。以下のようなポイントに留意することで、ITを武器にさらに高いレベルのナレッジマネジメントが実現できるだろう。
先に述べたように、大企業の多くはこれまで情報共有やナレッジ継承のためのITツールを段階的に導入してきたことから、さまざまな種類のツールが社内に林立しているケースが多い。当然、情報もそれぞれの中でバラバラに管理されているため、ユーザーは複数のツールを目的に応じてうまく使い分けないと、お目当てのナレッジを入手できない。情報への入口が多数存在しているため、どこから入れば(どのツールやシステムを使えば)欲しい情報が手に入るのか、なかなか分からないのだ。
この課題を解決するためのアプローチには、大きく分けて2つがある。1つは、バラバラに乱立しているITツールを、1つのプラットフォーム上に集約するやり方だ。例えば、Webコラボレーションウェア「アリエル・エンタープライズ」は、ポータル・グループウェア機能とアプリ開発基盤を提供する。ユーザー企業は、自社のビジネス形態に合わせてオプションで提供されるビジネスアプリや独自に開発した業務アプリを同一基盤上で稼働できる。これによって、ユーザーが情報を探したり管理者が情報をメンテナンスしたりする手間が省け、情報共有やナレッジ継承をスムーズに運ぶことができるという。
一方、ツールがバラバラに存在した状態のままで、情報共有の促進を図るソリューションも存在する。例えば、Googleが提供するアプライアンス製品「Google検索アプライアンス(GSA)」は、Googleのインターネット検索の技術を応用して企業内のさまざまなシステムに存在する情報を横断的に検索するというものだ。システムの実態は分散していても情報への入口をGoogle検索に一本化することで、社内に眠っているナレッジへのアクセスを容易にし情報共有を促進するのが狙いだ。
さらに将来的には、人工知能技術を応用して各ユーザーの情報へのアクセス傾向を学習し、ユーザーが情報を探しにいく前に「あなたが欲しい情報はこれではないですか?」と先回りして提示してくれるような機能も実現するかもしれない。その暁には、ユーザーが情報へアクセスする際のハードルはより一層低くなり、情報共有の取り組みもより加速することになるだろう。
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