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企業規模別、社員間の情報共有を活性化させるポイントIT導入完全ガイド(4/4 ページ)

» 2016年04月20日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]
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部門・グループに固有のニーズに応えられるか?

 大企業の多くは、全社的な情報共有の仕組みとは別に、部署ごとに独自の仕組みや業務フローを回していることも多い。例えば営業日報1つとっても、ある部署ではExcelファイルを課長にメール添付で提出している一方で、隣の課ではSalesforce.comを使っていたり、また別の部署ではいまだに紙の報告書が使われていたりといった具合だ。

 こうしたバラバラな運用を、ITツール導入を機に一気に統一してしまうのも手だが、それによって現場の業務に混乱を来たしてしまっては元も子もない。そこで、全社レベルの仕組みを構築しつつ、帳票やデータの形式を組織ごとに個別にカスタマイズできると、既に独自の業務プロセスを回している現場でも利用しやすいだろう。

ノウハウだけでなく「ノウフー」まで活用できるか?

 大企業で問題になりがちなポイントが「ナレッジの持ち主が分からない」という、いわゆる「ノウフー(Know Who)」の課題だ。たとえITツールを駆使してナレッジを発掘できたとしても、では「そのナレッジを最も効果的にビジネスに反映できるのは誰か?」「誰に相談すればより深く知ることができるのか?」が分からなければ、せっかく手に入れたナレッジの活用も中途半端に終わるかもしれない。

 近年注目を集める「タレントマネジメント」は、こうした個々人のスキルやナレッジ、キャリアに関する情報をデータベースで管理し、戦略的に活用するためのソリューションだ。これをナレッジマネジメントとうまく組み合わせて、ナレッジと人材との関連性を可視化する試みもさまざまな企業で行われている。

クラウドか、オンプレミスか?

 中堅・中小企業と同様、大企業にとってもクラウドサービスはさまざまな恩恵をもたらす。ただし大企業の場合はユーザー数が多く、かつ長期にわたってシステムを利用し続けることが多いため、中長期的な観点に立ってクラウドサービスの投資対効果を冷静に見極める必要がある。

 クラウドサービスは月額課金制がほとんどなので、一見すると安価に利用できるように見えるが、長く利用し続けていくうちに利用料金がどんどん積み重なっていき、およそ5年も経過すると自前サーバでの運用とコストが逆転している場合が多い。

 だが、オンプレミス環境で自前のシステムを構築・運用するのも骨が折れる。そこで、ソフトウェアのライセンスを一括で購入するものの、システム運用はクラウドサービス(IaaS)を使うといった運用方法が増えている。いってみれば、クラウドとオンプレミスのいいとこ取りをしたような利用法だ。実際にナレッジマネジメントのITツールを選択する際も、こうした形での運用も可能かどうか、あらかじめ確認しておくことをお勧めする。

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