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クラウド化が進展中、無線LAN最新動向すご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)

» 2016年05月11日 10時00分 公開
[草野賢一IDC Japan]

無線LANの最新技術動向

 市場動向について概要を述べたが、次に技術的な最新動向について2つのトピックスを紹介したい。

 無線LAN技術の最新動向としては、5GHz帯を用いて433Mbps〜6.93Gbpの高速通信を可能にするIEEE 802.11acの浸透状況が気になるところだ。最高速度が実現できる「wave2」規格対応製品が登場して一部で注目されているのだが、企業ユーザーの動きは鈍い。

 最高速度が1.3Gbpsの「wave1」規格対応製品は2013年から増えており、速度を求めるユーザーに徐々に普及が進行している。図3には、IEEE 802.11acとその他の現行無線LAN規格対応製品の出荷台数構成比を示す。

IEEE 802.11ac対応製品の比率 図3 IEEE 802.11ac対応製品の比率。国内企業向け無線LAN AP市場 規格別 出荷台数構成比予測、2011年〜2019年(出典:IDC Japan)

 普及の始まりは2014年からだが、2016年には既に53.8%を占めるまでに成長すると予測している。この動きは2017年以降も続き、2019年には全体の9割を超えるシェアとなる見込みだ。

 一方、IEEE 802.11ac wave2対応製品はまだ市場での動きはまだ顕著ではないが、かつて予測されていたっような、wave2対応製品の登場までwave1対応製品を買い控えるという動きは、現実にはそれほど懸念するほどではなかったようだ。

 wave2は3.5Gbps以上の高速通信が魅力だが、企業アプリケーションでそこまでのスピードを必要とするアプリケーションは、現在のところほとんどない。あるとすればVR(Virtual Reality)領域のアプリケーションが想定されるが、それも一部の企業にすぎない。学校など教育/研究関連組織では映像やVR、ARなどのニーズがあるようだが、こちらでもwave2対応製品を待って買い控えるケースはそれほど強くは見られなかった。

 またその次の技術として60GHz帯を利用するIEEE 802.11ad(WiGiGとも呼ばれた)も、7Gbps程度を実現するといわれて注目されているが、具体的なユースケースはまだ描かれていない。しかしやがては11ac wave2でも十分でないユーザーも一部では出てくるだろう。次の段階での検討では俎上(そじょう)に上がる可能性はある。

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