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独自MDMを搭載する「法人向け」タブレットを出すASUS JAPANの狙いとはKeyConductors

ASUS JAPANの新型タブレットを、あえて「法人向け」とうたう理由はどこにあるのか。独自のMDMとは一体何か。

» 2016年06月21日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 ASUS JAPANは2016年6月16日、法人向けタブレット製品「ASUS ZenPad for Business 7.0」および「ASUS ZenPad for Business 10」を発表した。あえて「法人向け」とうたう理由はどこにあるのか。新製品発表会での様子をレポートする。

法人向けに特化したタブレット「ASUS ZenPad for Businessシリーズ」とは

鈴木真二氏 ASUS JAPAN コーポレート事業部 事業部長兼アライアンス推進室室長 鈴木真二氏

 2011年からAndroid搭載タブレット製品を国内販売しているというASUS JAPANだが、今回「法人向け」に特化したタブレット製品「ASUS ZenPad for Businessシリーズ」を発表した。

 同社の鈴木真二氏によれば「国内の法人向けタブレット製品には端末管理ソリューション(MDM)が欠かせない状況で、売り上げ額も右肩上がりになっている」とのこと。法人でタブレット製品を利用するには、MDM製品の導入が欠かせないことを強調した。その状況をくんだ上で、この「ASUS ZenPad for Businessシリーズ」には同社独自のMDMシステム「ADAM(エイダム)」が標準搭載されることとなったと解説した。

 今回発表された「ASUS ZenPad for Businessシリーズ」は2機種。7インチ液晶を搭載した「ASUS ZenPad for Business 7.0」と、10.1インチ液晶を搭載した「ASUS ZenPad for Business 10」。

 7インチモデルにはSIMロックフリー対応モデルと無線LANモデルが用意され、10.1インチモデルは無線LAN対応モデルのみが用意される。7インチSIMロックフリーモデルは通話機能も備え、いわゆる「ファブレット」としての利用も可能となっている。また各モデルには入力精度の高さに定評のある日本語IME、ジャストシステム「ATOK」を標準搭載する。

ASUS ZenPad for Business 7.0 ASUS ZenPad for Business 7.0
ASUS ZenPad for Business 10 ASUS ZenPad for Business 10

 各製品で共通するのは「AOSP(Android Open Source Project)」ベースのOSを採用しているというところ。

 Androidタブレットというと、OSに各メーカー独自のカスタマイズを施して提供するのが一般的になっているが、あえて独自カスタマイズを廃し、Googleが配布しているAndroid OSの「素」の状態に近い状態で販売される。これによって企業は短い納期での導入が可能になるうえ、独自アプリを開発する場合のコストも削減できるという。

 さらに、前述したように各製品とも独自のMDMシステム「ADAM」を搭載するのが大きな特徴。端末の管理が容易になるところや、セキュリティ強化を図って情報漏えいを抑止できるところなど、機能的には一般的なMDMツールと大きく変わることはない。

 ただ、端末の導入時に別途MDMツールを導入する手間や、複数の端末にキッティングを施す必要がないため、費用と時間の大幅削減となるということを大村氏は強調していた。

大村一郎氏 システムビジネス部テクニカルプロダクトマネージャー 大村一郎氏

ADAMで広がるタブレットのビジネス用途

 ADAMは端末にプリインストールされている「ADAM Client」と、PCのWebブラウザから操作できる「ADAM Webコンソール」で構成される。クライアントから端末の各種設定・機能制限を直接実行できるため、導入端末台数が少ない場合はそれで十分といえる。導入端末の台数が多い場合には、Webコンソールを使ってWebから一括管理・設定することが可能。また、遠隔操作による端末のロックやスワイプといったセキュリティ面での操作もWebコンソールから実行できる。

 なおWebコンソールは2016年秋以降、有料サービス(価格体系未定)での提供が予定されている。

 ADAMの機能の1つに「KIOSKモード」がある。これは端末を単一機能に限定する機能で、特定のアプリだけを動作させることでさまざまな業務の「専用端末」(KIOSK端末)として利用することが可能となる。一般的に、KIOSK端末を導入する場合には端末ベンダーなどと協議しながらOSレベルでの初期設定が必要で、端末の使用者が設定を初期化してしまって復旧に手間とコストがかかることもあるという。しかしADAMのKIOSKモードなら、たとえ初期化されたとしてもクライアントもしくはWebコンソールからすぐに復帰できる。

 さらに、ADAMによって端末の「起動ロゴ」のカスタマイズも容易になる。こちらも一般的にはOSレベルでの初期設定が必要なところだが、ADAMによって任意の起動ロゴ(例えば導入企業の公式ロゴ)を設定可能となる。

 また発表会場では、ASUS ZenPad for Businessシリーズと搭載されたADAMを活用し、NFC準拠のICカードによってユーザー識別を可能にする「iZE Smart Desktop」のデモンストレーションも公開されていた。今後、ADAMを活用した同様のサービスやアプリが登場することが予想される。

Edward Guan氏 ASUS JAPAN システムビジネス部コーポレート事業部営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当 Edward Guan氏

 Edward Guan氏は、このASUS ZenPad for Businessシリーズは「法人のお客さまのフィードバックに基づいて開発した」と語り、法人タブレットユーザーおよび管理者の望む姿に近いタブレット製品を市場に送り出したことを示唆した。

 ASUS ZenPad for Businessシリーズの実売価格は全てオープン価格。既に受注が開始されていて、6月下旬より順次出荷される。

 タブレットの導入を検討しながらも、導入コストの高さや導入後の管理の複雑さのために二の足を踏んでいる企業、部門は少なくないかもしれない。ASUS ZenPad for Businessシリーズは、そういったケースでも導入を検討するに値する新製品となるはずだ。

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