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イベント取材がつらい50代 記者が「キラキラなAI推し」に感じた違和感とは?

ITイベントの主役は、今やAI一色だ。特に事務業務やコミュニケーション分野の進化は目覚ましく、会場にはポジティブなメッセージがあふれている。だが、その「キラキラなAI推し」の熱狂に、50代のベテラン記者は違和感を抱いていた。

» 2026年04月24日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 筆者は最近のIT系イベントにはオンラインで参加するケースが多く、リアルなイベント参加の機会がなかったが、久しぶりに都心で行われたイベントに参加した。リアルの独特な空気感もあり伝わるものが違うような気がするが、大勢の人に接すると、どうしても疲れてしまう。50代という年齢のせいもあるのだろう。

イベント会場を動き回る取材陣、進む高齢化を実感

 IT系のイベントに参加する目的は、もちろん記事作りのためだ。事前にどんな企業が参加しているのかを把握した上で、基調講演などは漏らさず視聴し、カメラを片手に展示会場を歩き回る。事前に報道関係者として登録していたため、腕章を付けて記者席でPCを広げることができ、取材時にメモを取りやすい環境を用意してくれていた。

 大規模なイベントになると、メディア関係者の部屋には各種情報が配布され、現場で取材を調整してくれることもある。今回は1つの企業が開催したイベントだったため、記者席以外は用意されていなかったが、記者席だけでも用意してくれたことはありがたかった。多くのパートナーが協賛として参加していたため、ブースを回っている時間が長く、部屋でゆっくりと原稿を書く時間もなかったのが正直なところではあるが。

 30代のころは勢力的にブースを回って記事のネタを探したものだが、年齢を重ねるとフットワークが重く、全てのブースを回ることは正直難しい。同じように腕章を付けて各ブースを回る50代前後の同業者を見るにつけ、記者業界も高齢化が進んでいることを実感する。

会場のキラキラな"AI推し"に戸惑う記者が感じた「違和感」

 さて今回のイベントでは、AIを軸としたソリューションの進化が強く打ち出されていた。さまざまな業界における業務効率化の事例に触れる中で、事務業務で求められる人手が、確実に減りつつあることを実感した。

 特にコミュニケーション系のソリューションに関しては、議事録の自動作成や会議の要約、同時翻訳といった場面におけるAI活用事例が目立った。とある自治体では、労働人口の減少を見据え、少人数でも自治体運営が可能となる体制づくりに向けて、AIを積極的に活用する取り組みが紹介されていた。

 久しぶりにイベントに参加してみると、企業や組織の生産性を大きく向上させるAIソリューションの展示が多くを占めており、AIに対するポジティブなメッセージが並んでいた。まあ、イベントは元来そういうものだ。

 しかし、セキュリティに関しての懸念は、かつてないほど大きなものになっていることも事実だ。最近では、Anthropicが発表した新型AIモデル「Claude Mythos」によって、これまで発見されていなかった多くの脆弱(ぜいじゃく)性がOSやソフトウェアから見つかった。サンドボックス環境からでも外部アクセスを可能にする方法が発見されたようだ。結果として、新たなAIモデルが悪用される危険性を考慮し、一般公開を見送る事態にもなっている。

 情報システム部門にとっては、AI技術の動向に注視しながら、自社でどこまで適用していくのか、また、未知の脆弱性にどう対処していくのか。頭を悩ませる日々が続くだろう。もはや人力では対処できない状況になっていることは間違いなく、利便性と安全性をどう両立させていくのか、重要な局面に差し掛かっているといえる。

 そもそも、現時点でセキュリティに対する明確な答えを持っているベンダーは恐らくないだろう。とにかく、大きな変革をもたらすイノベーションが、悪意ある組織の手によって生み出されることのないよう願いたい。ソリューションを開発しているプロダクト責任者にとっても、暗中模索は続くことだろう。

 AIという劇的なイノベーションが従来のIT環境を大きく変容させていく中、その最適な環境づくりの姿がどこに落ち着くのか、興味は尽きない。


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