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業務で使う「タブレット」の活用法、リプレースの落とし穴IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2016年12月19日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

 今回、実際に業務のクライアント端末をPCからタブレットへとリプレースしたタニタの情報システム部門を担当する山田 学氏に話を聞いた。ご存じの通り、タニタはヘルスメーターや体組成計をはじめとする各種計測機器の製造、販売を手掛ける企業だ。

山田 学氏 図1 タニタ 経営管理部情報システム課課長 山田 学氏

タニタが奮闘したタブレットへのリプレース概要

 同社では、2015年の春ごろから業務PCのリプレースが開始された。従来社員が使っていたのは国内メーカー製のWindows OSのノートPCだ。そこに経営陣からトップダウンでタブレットへのリプレースの指示が下った。

 当該機種は「Microsoft Surface Pro 3」。Windows 8.1を採用した2in1タブレットだ。タブレットの可搬性と、デスクワークに耐えるハードウェアキーボードが使用可能という利点を備えたSurface Pro 3をリプレースマシンに選択することで、社員のワークスタイルに幅を持たせられると経営陣は考えた。

 従来使ってきたWindows PCのソフトウェア資産が利用できること、サーバや基幹システムを変更することなく利用できる点も決断を後押しした。同社は既に一部でフリーアドレス制を採用しており、それをさらに推進するという意味でもタブレットの利用を推し進めたのだった。

 PCからタブレットへのリプレースは一斉に行われたのではなく、営業部門、間接部門、開発部門というように「部署単位」で実行された。リプレースに約1年をかけ、2016年の夏にほぼ完了し、全社で約270台がSurface Pro 3へと移行したという。ただ、設計部門においては、CADなどを利用する関係でハイスペックなPC環境を必要とするため、従来の機材も残っているそうだ。

 リプレースを段階的に行ったのは、セキュリティ対策や端末の管理など、未知数の部分が多かったからだという。徐々にそれらの問題をクリアしていくことで、山田氏はタブレット運用の最適解を見いだそうとした。

 リプレースを進める上で判明した誤算もあった。山田氏ら情シス部門は、Surface Pro 3へリプレースすることで、ネットへの接続がワイヤレスになることを想定し、それに伴って無線LAN環境の増強を既に実施していた。しかし120台を配布した時点で、増強した無線LAN環境でも通信が混み合ってしまい、通信がままならないことがあったという。そのため、あらためてアクセスポイント配置の最適化や、チャネルの調整などを行う必要があったという。

 同社はセキュリティを重視したタブレットの運用を心掛けた。Surface Pro 3には指紋認証機能が非搭載なため、顔認証システムを採用し、端末のログオンにはSurface Pro 3の内蔵カメラを利用した顔認証を必須とした。また前述した無線LANのアクセスポイントも指向性が制御されたものを採用し、必要範囲外に通信が漏れることを防いでいるという。

 移行が完了し、社内での評判は個別の要望はあるものの、おおむね好評とのこと。また、可搬性が高まったことでフリーアドレスが生き、さまざまな部署間での打ち合わせが増えたという。なお、Windows 10へのアップグレードは今のところ行っておらず、Windows 8.1で運用されているとのこと。これはさらなる動作検証を避けること、社内で必須の一部アプリがWindows 10での動作確認が取れていないことなどが理由だという。

 しかし、次のリプレースも視野に入れざるを得なくなっているという。山田氏ら情シスが予測するSurface Pro 3のリプレースタイミングは2〜3年後。機種選定などはまだだが、恐らくは同系統であるSurfaceシリーズをチョイスする可能性が高いそうだ。

 Windows 10以降のタブレットには、顔認証機能「Windows Hello」が標準搭載されており、ペン入力もより便利になっているなど、期待を寄せている機能もあるという。またいずれは、仮想デスクトップを活用してタブレットでよりセキュアな業務環境を整えていきたいとも考えているそうだ。

図2 自身も実際に「Surface Pro 3」を使っている山田氏 図2 自身も実際に「Surface Pro 3」を使っている山田氏 情シス担当者が実際に業務で使うことで見えてくる側面もあるだろう

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