ワークフローツールを導入しても、申請から承認、決裁へと至るプロセスは紙のそれと大きく変わることはないが、IT化することで完了までの時間を短くできる。また、書類紛失や承認忘れなどのトラブル防止にもつながる。
近年ではモバイルデバイスからのアクセスにも対応した製品が増えており、承認者はどこにいても承認作業を行える。紙を上司のところまで持参して承認をお願いしたり、「未決箱」に入れておいたりするような運用とは決裁完了までのスピードが異なるのは明らかだ。なお、スマートフォンからの起票も可能だが、主に承認作業に使われることが多いようだ。
ワークフローが滞るのは、承認権限を持つ人が外出や出張などで承認作業ができない場合がほとんどだ。その際に他の人が代理で承認することがある。これが「臨機応変」な対応であるとコンプライアンス上の問題を起こしかねない。正当な権限を付与された責任者のみが承認できるようにするには、同じ職級レベルの複数人が承認可能な例外的なフローも定義しておく必要がある。
また、申請書によっては起票者から最終決裁者までが1本道ではないものもあるだろう。例えば、承認者が順番に回覧する必要はなく、一斉に関係者全員に承認依頼を行い全員が承認した時点で決裁とすることもある。また、例えば経費精算のように、3万円以下の申請なら経理部門の責任者が承認するだけでよく、それを超える申請は直属の部長承認が必要だというように条件によって承認フローを変える場合もある。
ワークフローツールを導入する際には、さまざまなケースを想定して業務を整理し、例外的な状況が発生しても確実に処理できるようにしておきたい。そのためには、複雑な承認フローの設計と運用が容易にできるツールを選びたい。グループウェアに付属する簡易的なワークフロー機能では複雑なフロー定義や運用ができず、この点が本格的なワークフローツール導入のきっかけとなることも多いという。
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