紙の書類が電子化されることで得られるメリットは明白だ。書類保管コストとスペースの削減、ファイリングの省力化は、どのような方法でデジタル化しても、基本的には即座に実現する。
また、管理システムを利用することで検索の高速化による監査準備の手間の削減が見込める。さらに、書類操作日付や時刻、操作内容などの正確なログの取得と管理によって不正行為抑止や発見も期待できるだろう。加えて、情報へのアクセス制御を行った上、改ざんや消去などを禁止することもできる。
こうした役割は文書管理システムとよく似ている。だが、ワークフローツールでは、上述のペーパーレス化によるメリットに加えて、次のような業務効率化とセキュリティ確保、コンプライアンス順守が図れるのが魅力だ。
一般的な運用では、書類をマスター登録して利用する。定型フォーマットを用意することで、入力が必須となる項目を網羅できる。記入漏れや入力値にミスがあれば、起票時に警告を表示して入力ミスを防ぎ、結果的に差し戻しなどの手間を削減できる。
ユーザーは、画面上のフォームリストから必要なフォームを選んで申請する(図1-1)。製品によっては、申請書を自由にフォルダ分けできる機能を持つものもある(図1-2)。
また、ほとんどのワークフローツールでは、多くの企業が利用しそうな定番のフォームをテンプレートとして提供している。その数が1000種類を超えるような製品もあり、カスタマイズ工数の削減につながるだろう。
テンプレートにない独自のフォームを使いたい場合は、作成支援機能が便利だ。白紙から作り込むことも可能だが、作成したいフォームに似たものをテンプレートの中から選んで改造したり、既存の紙の帳票をスキャンしてデジタル化したりもできる。
最近の製品では、フォーム作成機能をシンプルかつ分かりやすく使えるように設計している(図2)。そのため、専門知識を持つ情報システム部門でなければカスタマイズできないということは減ってきており、現場である業務部門ユーザーが必要に応じて独自にフォームを作成し、運用しているケースも増えている。
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