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ワークスタイルの変革状況(2017年)/後編IT担当者300人に聞きました(2/3 ページ)

» 2017年03月23日 10時00分 公開
[ITmedia]

検討中のITツールやソリューションとしては、SaaSアプリとVDIの順

 次に、「ワークスタイル変革に関連するITツールやソリューションの導入状況」を聞いた。

 「導入済み」が多かった順に、「VPN接続環境の整備(82.4%)」「Web・ビデオ会議システム(81.9%)」「貸与PCの外部持ち出し許可(78.4%)」「勤怠管理ツールの導入(77.4%)」となっており、ほぼ前述に沿った回答が得られた。この他には「ローカルディスク暗号化」や「無線LANの導入やフリーアドレス化」も比較的進んでいる。逆に、最も少なかったのは「BYODの推進(24.1%)」だった。

 また、「調査・検討中(導入予定)」が比較的多いものとしては、「業務メールなどのSaaSアプリへの移行(30.7%)」および「デスクトップ仮想化(VDI)(27.5%)」が挙げられる。「サテライトオフィスの利用」と「タブレットデバイスの配布」はあまり人気がないようだ。

ワークスタイル変革に関連するITツールやソリューションの導入状況 図2 ワークスタイル変革に関連するITツールやソリューションの導入状況

ガイドラインは分かるものの、具体的な方法論が分からない

 今回の調査ではフリーコメントとして「働き方改革」に対する意見・見解を募った。

 厚生労働省と総務省では、テレワーク実施に関するガイドラインを公開していたり、働き方改革のための情報ポータルで事例を含む情報を発信したりして啓発している。しかし、キーマンズネット会員からは、「世の中で公開されている事例は、方針やガイドラインレベルのものであり、現場の工夫が見える事例がほしい。『残業削減』という方針をどのように達成しているのか、達成のための工夫などを知りたい」というように、より具体的、現実的な情報が必要とされていることが分かる。

 さらに、「職場はワークライフバランスの取り組みで表彰を受けているが、自分の部署は相変わらず就労場所固定。時間外労働時間も長い。また、非正規雇用社員にはルールが適用されておらず、真のワークライフバランス環境を構築するには、まだまだ考慮すべき事項があり、道のりは遠い」というコメントもあり、同じ組織でも部門や業務内容によって改革の取り組み度合いに温度差があることもうかがえる。

 テレワーク環境の整備など「働き方改革を実践する際に必要なインフラは整備済み」であっても、実践できていないケースが少なくないようで、「テレワークのための規定やインフラは整えた。しかし、経営トップは、育児・介護は個人の問題であり、会社が対応することではないと考えている」「過去に一度、テレワーク形態への変換を試みたが、一部内勤者の根拠なき誤解(=『出勤せずに遊んでいるのではないか』)、妬み(=『好き勝手に来たり来なかったりできてずるい』)が原因で計画が頓挫した」という意見が寄せられた。現場や経営者らが実感として働き方改革の必要性が認識していない、当事者として考えていないために、改革が進んでいないことがうかがえる。

 また、成功事例を自社のこととして実感できないトップも少なくないようで「テレワーク導入企業が業務の効率化や残業抑制などで効果を上げている事例や政府の動向を説明しても、『自分の会社には当てはまらない』という認識があるため、自社での導入が進まない」という意見も寄せられた。

 これへの返答ではないが「経営者が躍起になっても従業員が何の希望も持たなかったら進まないし、逆であっても同様。やはり、導入のきっかけには(組織としての)生き方、働き方のベクトル合わせが必要なのではないか」というコメントは、示唆に富んだ意見といえそうだ。

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