前編でも触れたが、働き方改革の取り組みで課題となっているのは、労務管理や人事評価の方法が確立していないことも大きな要因となっているようだ。
システムを提案する側の回答者からは、顧客からの要求に労務管理の考え方の課題が見えるという指摘もあった。
「(顧客企業では)ワークスタイル変革の1つとして自宅勤務なども考えられているが、『成果』ではなく『時間』で拘束することを念頭に考えていることが多く、いかに『既定時間内にサボらせないか』といった課題を出される方が多い。会社や個人のこういった考え方を変えないと、(働き方改革を)広げるのはなかなか難しいと思われる」。時間か成果か、という問題だ。
改革の成果を最大化する方法については「SCSKのような、社員の残業時間減少と業務の効率化、その結果生み出された利益の社員への還元のような、『好循環サイクル』はなかなか生み出せない。スキルが高く、仕事ができる社員に仕事が集中しがちだ。彼らの残業時間を抑えられるように、他の社員のスキル向上、仕事の品質向上が思うように進まないジレンマを抱えている」というコメントが寄せられた。
全体の品質を高めて特定の人材に人に仕事が集中する問題をどう解消するかがカギになるという指摘だ。業務効率改善と利益還元を進めるには、テレワークなどのツール導入に加えて、仕事の品質を平準化するための業務支援ツールや、プロセス最適化などの取り組みも検討すべきかもしれない。
前編では、ワークスタイル変革に関して、具体的なニーズがあるのは2割前後であること、子育てや介護世代でニーズが高い一方で人事部門のニーズがやや低めであること、多くの回答者が必要性を感じているものの実践できているのは半数程度であることなどが分かった。また、ワークスタイル変革が進まない理由の裏には業務管理、時間管理、評価が三大懸念として存在することや経営者に心理的抵抗があることなどが明らかになった。
後編では、ワークスタイル変革は、まず就労規則と勤怠管理、次に会議体運営ルールや業務報告方法の順に見直されつつあること、ワークスタイル変革に関連するITツールやソリューションとしては、今後SaaSアプリ、VDIの活用を検討する読者が多いことなどが明らかになった。働き方改革の実践については、直接的なツール導入だけでは不十分で、組織や業務プロセス全体の改革も含む広範な見直しもスコープに入れるべきとの意見が寄せられた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。