「AI」「機械学習」「深層学習」などが注目を集めるが、用語が乱立しており、違いや使い方が分かりにくい。しかし、チャレンジすれば大きなメリットが生まれる可能性もある。
「AI」「機械学習」「深層学習」「コグニティブ」など、いまこれからの業務を劇的に変えそうな技術が注目を集める。一方で、用語が乱立し、次々に新しいものが登場するため、違いも、使い方も分かりにくい。しかし、クラウドサービスで提供されていることから、大手企業に先んじてチャレンジすれば、大きなメリットが得られる可能性もある。いま目の前にある業務課題の解決や、新しいサービス開発に使えるかどうかを探る。
TVや新聞紙上で「AI」「人工知能」という言葉を目にしない日はないほど、近年のAIブームの盛り上がりぶりには目を見張るものがある。グーグルが開発した「AlphaGo」が世界最強クラスの囲碁棋士を破るなど、AIに対する世間一般の関心が急速に高まる一方、ビジネスの世界でも、近年のAI躍進の原動力となった「機械学習(マシンラーニング)」「深層学習(ディープラーニング)」といった先進技術をビジネスに積極的に活用しようという動きが活発化している。
事実、ビジネス関連のメディア上には「AIを使って大幅なコスト削減」「AI活用で新たなビジネスモデルを」といったうたい文句が踊っているが、その一方でAIという用語が拡大解釈されて使われることも多く、実像がなかなかつかみにくいのも事実だ。特に「機械学習」「深層学習」「コグニティブ」といった専門用語は、今日のAIの価値を理解するためには大変重要なキーワードであるにもかかわらず、曖昧な理解にとどまっている人も多いのではないだろうか。
現在のAIブームは「第三次AIブーム」と呼ばれる。前回の第二次AIブームは1980年代におこったが、その際にクローズアップされたAI技術は「エキスパートシステム」と呼ばれるもので、特定の問題領域を解決するためのものだった。その問題領域に最適化した知識データベースとロジックを人間が実装し、一部の領域では一定の成果を上げた。
現在でもAIと呼ばれるシステムの多くはこのエキスパートシステムの形をとっているが、人間が知識やロジックをイチから記述するために膨大な手間と時間がかかり、場合によっては扱える問題領域の広さや深さにも限界が生じることがある。
そこで、人間がロジックを記述するのではなく、システムにサンプルデータを与えれば、その中から自動的に適切なロジックを見いだすよう自己学習してくれる技術が開発された。それが機械学習である。「この条件下ではこうする」という判断ロジックを、人間がプログラムの形で与えるのではなく、多くの学習データ(「教師データ」という)の中からコンピュータが「この条件化では、こうした方がいいのではないか?」と試行錯誤しながら、自らロジックをブラッシュアップさせていくのだ。
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