現在のIT関連サービスでは、クラウド技術の急速な向上により多種多様なSaaSが登場している。その流れは、クライアントPCにパッケージソフトをインストールして使うことが当たり前と思われていたOfficeスイートにも波及している。
クラウド技術の普及により、会社の決められたクライアントPCにインストールし、社内という限られた場所で利用するパッケージソフトとしてのOfficeスイートの存在は、急速に薄れていきつつある。なぜならクラウドサービスを提供しているベンダーがWebアプリケーションの1つとして、またスマートデバイスやソフトウェアを手掛けるベンダーがモバイルアプリケーションの1つとしてOfficeスイートの提供を始めているからだ。
SaaS型Officeスイートには、例えばGoogleが2006年から提供している「Googleドキュメント」(旧名:Google Docs&Spreadsheets)やAppleが2005年から提供している「iWork」などがある。この2サービスに限らずSaaS形式のOfficeスイートに共通する特徴は、大きく以下の3点がある。こうした特徴が評価され、これまで主流であったパッケージソフト型のOfficeスイートにSaaS型Officeスイートが取って代る可能性が出てきたのである。
主要なSaaS型Officeスイートは上記の特徴に加え、Kingsoft OfficeやJUST Officeといった上述のパッケージ型Officeスイートと同様、Microsoft Office形式のファイルへの変換機能を持つ。
もちろんMicrosoftも時流に乗るべく、2011年からSaaS型Officeスイート「Office 365 ProPlus」(「Office Online」を含む)を提供している。
現在のSaaS型Officeスイートが含む機能は、パッケージソフトとして提供されていた表計算ソフトや文章作成ソフトなどのオフィス機能だけではなくなってきている。会社の業務で使われるメールサービスやポータルサイトといった業務に関連する機能にまで拡大した形で提供されることが多くなってきたのだ。
その最たる例として、Officeスイートのシェアを大きく伸ばす、Microsoftの「Office 365(Officeスイートは Office 365 ProPlus)」とGoogleの「G Suite(旧:Google Apps for Work、Officeスイートは「Googleドキュメント」)」がある。
次回から、Office 365とG Suiteについて、サービスの比較を交えながら解説する。第2回ではOfficeスイートの代名詞であるMicrosoft Officeを取り上げ、パッケージソフトである「Office Professional Plusシリーズ」とSaaSの「Office 365 ProPlus」の違いを、それぞれの特徴にフォーカスした形で紹介する。Microsoftが提供するOfficeスイートと他のOfficeスイートを比較検討する際の参考にしてほしい。
※この記事は、2016年04月13日にTechTargetジャパンで掲載されたものをキーマンズネット用に転載したものです。
廣瀬晃
富士ソフトに入社以来Microsoft製品を扱う部署に所属し活動する。もともとはSharePoint Serverの技術者であったが、Office 365の前身である企業向けオンラインサービス「Microsoft Business Productivity Online Services(BPOS)」時代からMicrosoftのクラウドサービスの提案・構築を手掛ける。現在はOffice 365を始めとしたMicrosoft製品をお客さまへ訴求するプリセールスとして活動する傍ら、Microsoft製品のセミナーのプレゼンターとしても活動している。
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