その他にも人事・労務部門の現状課題について多くの声が寄せられている。ここでは大きく分けて3つに分類して紹介しておこう。
勤怠状況の正確な把握ができていない
- 残業時間、休憩時間の管理など勤怠状況のリアルタイム把握ができない
- 働き方変革と効率の両立ができない
- 無償残業の管理
- 申告の労働時間と実際の労働時間との差分チェックに時間がかかる
スキルの管理、適材適所の配置ができていない
- ビジネス領域の変化に伴い、新たに必要なスキルを習得可能見込みが高い候補者をピックアップし、研修を受けさせるように人事措置をするルールが社内にない
- 労働時間の管理だけに終わっており内容(仕事)の管理が弱い。恐らく管理以前の問題
- 稼働管理は問題ないと思われる。人事は個々人の能力や性格が正しく共有されていないので、アンマッチが起きやすい
- 人事が適材・適所から見た場合、できていないことが多い
保有スキルや業務経験などの情報共有体制が整備されていない
- 経営に必要なスキルを錬成するには、継続フォローが必要だが、システムで対応していない。経営管理に必要なレベルを満たすレベルの管理職を把握できてないため、人事異動が硬直化している教育履歴、保有資格と人材評価の連携がうまくいっていない
- 社員の業務経歴、保有スキルが公開されていない
- スキルアップに関する環境整備ができていないため、個人任せになっている
技術継承ができていない
- 人材が育てることができない、技術の継承ができない
- 適材適所のアサインができていない、40〜60代世代が会社としての業務ノウハウを継承してくれない
採用基準が不明確
- 売り上げが減少したときに採用抑制したため、年齢構成がいびつになっており、中途採用で補充したいが、スキルレベルを把握し管理するシステムがない
- 採用の基準が不明確で、採用担当者の主観に依存している
- 採用基準や育成プログラムが曖昧である
- 人材を採用・育成する側にビジョンがない
人材育成が社外や特定の部門任せ
- 社外に丸投げで、社内での教育が全くできない
- 人材育成は社内全体で実施すべき事項と職場ごとに実施すべき項目がある。職場ごとの育成は部門によりまちまちである
- 育成が部門任せになっている。評価との関係性が明確でない
労務管理から人材管理、採用・育成管理など「人事管理」と一口に言ってもあらゆる側面があり、どの側面から見るかによって課題感の見え方は変わってくる。働き方改革が
進まないという悩みもあるが、ベテランの技術を伝承できないという課題も深刻だ。これらの課題を解消していくには、人事評価指標や仕掛けをうまく設計していくことも必要だろう。
本来的に「人事管理」とは企業運営の源泉である「人材」が能力を発揮できる環境をいかに整備するか、その管理手法を指す。そこで次章では「人事管理システム」を取り上げ、導入状況や満足度などの調査を基に、他者がどのような人事管理を行っているのか、その実態をさらに堀下げていく。