最後に、AIをユーザーインタフェースとして活用した場合の未来像を紹介しよう。ここでは、旅行を手配してから旅行を終えて帰宅するまでの一連の流れを例に挙げる。
スマートフォンで商品を購入するといった旅の準備から、スマートウォッチによる搭乗券の提示、ホテル内にある客室設置のエージェントAIとの相談まで、想定されるシーンに応じてさまざまなインタフェースを介して、AIが旅行者とのインタラクションを図り、行動を支援する。
こうしたインタラクションを通じて一貫した顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)を実現するためには、全てを束ねる「1つのAI」がハブとしてユーザーインタフェースをつかさどり、状況に応じてエージェントアプリやデバイスを使い分けながら、旅行者が必要な情報やサポートを最適なタイミングで提供できるようになるだろう。
既に実装可能なサービスや技術も多く提供されているが、「ひと」のニーズを予測して、1人1人に合わせた体験を一貫して提供するという意味では、現時点ではいつくかのサービスを組み合わせていく必要がある。時には外部パートナーと同盟(エコシステム)を組むことも大事だ。
先進的な企業は、AIやIoTなどの領域におけるテクノロジーを自社に取り込むだけでなく、こうしたテクノロジーを使う「ひと」のためにテクノロジーを積極的にデザインすることで成長を続けている。あらゆる業界において、規模の大小を問わず、企業は共通して「ひと」とともにある。「ひとが主役」のアプローチを追求できる企業こそ、急速に進展するテクノロジーの恩恵をあらゆる場面で得られるだろう。
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