OneDrive for Businessでは、ユーザーや管理者が実施したアクティビティーの監査およびレポート機能が提供されている。対象となるアクティビティーはフォルダやファイルに対しての表示、作成、編集、アップロード、ダウンロード、削除などの操作、招待やアクセス要求などの共有に関する操作、またコンピュータに対する同期の操作で、これらの監査ログは90日間保持される。また、管理者は検索結果をCSVファイルにエクスポートできるので、Excelで詳細なレポートを作成するなど2次利用が可能となる。このようにクラウド上のアクティビティーに対して監査ログを取得できることは組織のコンプライアンスの徹底に一役買うだろう。
Google ドライブの特徴として、「検索」が上げられる。ファイル名が思い出せないが、このキーワードを含んでいたドキュメントを探したいという場合にGoogleドライブの検索機能は、その精度の高さから業務効率を大幅に改善する。例えば、「売り上げ」と入力すると、AIが関連するキーワードやファイルを候補として自動的に選択してくれる。この検索はファイル名だけではなく、ファイル内の文章も含めて検索するため、GoogleのWeb検索のように関連するキーワードを羅列するだけで、素早くファイルを探すことができる。
以前までのGoogleドライブでは、ユーザー単位で「編集」「閲覧」「コメント」の権限を付与できた。編集と閲覧は文字通りの権限で一般的ではあるためここでの紹介は割愛するが、「コメント」はその権限を与えることで、作成物に対して編集はさせないものの、提案などのコメントを入れることが可能であった。
現在のGoogle ドライブでは、さらに一歩進み、コンテンツのダウンロード、印刷、コピーを禁止するIRM(Information Rights Management)の機能を利用することができるようになっている。これにより、機密性の高い共有情報に対して印刷した紙からの情報流出などを防ぐことができる。
通常、ファイルサーバでIRMの機能を利用しようとすると、新たにサーバなどの投資が必要になるが、クラウドで提供されているGoogle ドライブであれば、契約済みプランの料金の支払いだけで利用できる。
Google ドライブに保存されているファイルは、「Google カレンダー」や「Gmail」といった他のサービスからでも利用できる。
例えば、Google カレンダーで設定した会議予定に資料を添付したり、あるいはGmailの添付ファイルの代わりにGoogle ドライブのファイルを追加することで、Gmailで送付できない20MBを超える大きなファイルを共有したりすることもできる。
しかも、送信先の相手とファイルの共有設定がされていない場合は、下図の様に「ドライブのファイルが受信者と共有されていません」と自動でアラートが上がるため、権限不足で閲覧ができないというような連絡を相手から受けることもない。
さらにいえば、一度ファイルを送付した資料であっても、共有権限から見られたくない相手を削除すれば、いつでもその相手が閲覧できない状況に変更することができる。添付ファイルでメールを送った場合にはできない利点だ。この機能を活用すれば、資料の誤送付事故が発生しても被害を最小限に抑えることまでできるだろう。
今回は、クラウドサービスのドキュメント共有について、Office 365のOneDrive for Business とG SuiteのGoogle ドライブの特徴を比較した。クラウドサービスと一言でいっても、メールやカレンダーもクラウドサービスによってさまざまな違いがあるが、ドキュメントについてもそれぞれ違いがある。
次回は、ドキュメントの作成、管理について説明する。
大川典久
富士ソフトに入社以来、Microsoft製品を扱う部署に所属し、「SharePoint Server」の技術者として多くのプロジェクトに参画。現在はOffice 365をはじめとしたMicrosoftのクラウドサービスを中心にセミナーの企画を手掛け、プレゼンターとして活動している。
脇本 孝太郎
2009年からGoogle Appsビジネスに従事し、営業およびプリセールスとして活躍している。多種多様な業種のGoogle Apps導入プロジェクトに参画してきた。現在は担当領域を広げ、Google Appsだけでなく「Salesforce」など他のサービスを含めた業務改善やワークスタイル変革について、提案やセミナーのプレゼンターとして活躍している。
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