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SFAは「営業支援機能の比較」だけで選んではいけないIT導入完全ガイド(1/3 ページ)

「営業支援システム(SFA)は、営業支援の機能だけを比較して選定すると失敗しやすい」という。では、何をどうやって選べば効果が出るのか。SFAのトレンドとともに比較のポイントを紹介する。

» 2017年07月18日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

 この数年、営業支援ツール(SFA)を導入する企業は増加傾向にある。業務の効率化につながるSFAだが、SFA単体でできることには限界があることも理解されつつある。そこで、主要SFAツールベンダーは周辺機能の利便性や柔軟性を強化する方針を採っており、そこが各社の違いであり、導入検討時の重要なチェックポイントになっている。本稿ではSFAツールの現在のトレンドを紹介していく。

SFA導入が進む一方で活用・定着に課題を感じる企業も

 編集部では折を見て営業業務を助ける道具として営業支援ツール(Sales Force Automation:SFA)の利用方法や定着方法を紹介してきた。成功企業の事例も既に多数出現していることから一定の導入率に至っているといえよう。しかし、一方で、効果を期待して導入したものの、全く定着せずに「ワークフローが増えただけ」という声も少なくない。

 キーマンズネット編集部が2016年5月に実施した「SFAの導入状況に関するアンケート調査」では、過去3年間でSFAの導入企業は倍増しているという結果が出た。この背景には、Salesforce.comに代表されるSaaS型のSFA/CRMクラウドアプリケーションの急速な普及がある。

 かつてSFAのシステムは、企業の情報システム部門が主体となり、重厚長大なプロジェクト体制を敷いてスクラッチ開発やパッケージ製品導入に当たっていた。そのため多大なコストや時間を費やすだけでなく、情報システム部門が設計したシステムと営業現場のニーズとの間に隔たりが生じ、せっかく導入したもののなかなか活用されないケースも少なくなかった。

 しかしSaaS型のSFAアプリケーションが一定の評価を得たことによって、状況は大きく変わった。企業の営業部門がSFAの導入を検討する際、かつてのように社内の情報システム部門に依頼するのではなく、営業現場のニーズを直接反映させたSaaS型SFAアプリケーションを、営業部門が自らの手で導入するケースが増えてきた。

 既に長い歴史を持つSFAのソリューションだが、このようにクラウド技術との融合によっ、て近年あらためてその価値がクローズアップされているのだ。

SFA導入企業の約3分の1が「SFAを有効活用できていない」

 一方でこのアンケート調査では、既にSFAを導入した企業の約3分の1が「SFAを使ってはいるものの、有効活用できていない」と回答している。SaaSによってSFA導入のハードルはぐっと低くなったものの、「他システムとの連携性に問題がある」「使い勝手が悪い」「現場になかなか定着しない」といった問題を抱える企業が少なくないようだ。

図1 SFAの導入状況 図1 SFAの導入状況(出典:キーマンズネット 2016年調査「SFAの導入状況」)

 中でも最も根深いであろう「現場になかなか定着しない」という課題については、別途後編で詳しく取り上げているので、そちらを参照されたい。「他システムとの連携性」や「使い勝手」といった課題もこれまで多く指摘されてきたが、最新の製品・サービスではかなり改善されつつある。

 特に他システムとの連携性については、現在多くのベンダーが力を入れて機能強化を進めているポイントの1つだ。狭義のSFAアプリケーションは主に営業活動における商談や案件の情報などを管理するシステムだが、現在ではさらにそのカバー範囲を広げて、かつてはコールセンター/コンタクトセンターのCRMアプリケーションが担っていた顧客情報管理の役目も併せ持つことが多い。そのため、CRMシステムとの連携はもちろんのこと、近年ではCRMとSFAは「SFA/CRM」とひとくくりのシステムとして捉えられることが多い。

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