今日市場に出回っているSFA製品・サービスの多くは、クラウド・モバイル対応はもはや当たり前になりつつあり、最近ではこれらに加えてデータ分析機能や社内SNS機能を取り込んだものが増えてきた。
例えばSalesforce.comでは「Analytics Cloud」と呼ばれる独自のBIツールを提供しており、SFAの商談データやCRMの顧客データに対する高度な分析を可能にしている。また前述のeセールスマネージャーも、「Tableau」や「MotionBoard」などのBIツールと連携できる他、オプションとしてTableauの技術を採用したデータ分析/ダッシュボード機能「eセールスマネージャー Remix Analytics」を用意している。
一方、SFAが備える社内SNS機能というと、この領域にいち早く取り組んだSalesforce.comの「Chatter」が広く知られている。しかしChatterが脚光を浴びるや否や、競合ベンダーも同種の機能を自社製品に次々に実装しており、今日では決して珍しい機能ではなくなってきている。
近年、ITの世界で最も注目を集めるキーワードの1つが「AI(人工知能)」だ。その注目度の高まりに応じて、近年さまざまな業務アプリケーションベンダーが自社製品の「AI対応」を打ち出している。SFAの分野では、Salesforce.comが「Einstein(アインシュタイン)」と呼ばれるAI技術を自社サービスに導入して話題を呼んでいる。
Einsteinはまだ導入されたばかりの技術であり、その適用範囲も限られているが、過去の商談情報を学習した結果を基にリードをスコアリングしたり、成約確度の高い商談を抽出したり予測したりといったことが既に可能になっている。恐らく、今後は他のSFAベンダーもこれに続き、同様の機能を自社製品・サービスに実装していくことが予想される。
ただしAIは導入してすぐ効果が出るものではなく、まずは分析や予測の基となる情報(教師データ)を蓄積する必要がある。そのため、その真価が明らかになるまではもう少し時間を要するだろう。
最後に、本稿執筆時点で利用可能なSFA製品やサービスの中から、代表的なものを幾つかピックアップしてその特徴を簡単に紹介しよう。
Salesforce.comが開発・提供するSaaS型SFA/CRMアプリケーション。現在、世界中で極めて高いシェアを持ち、日本国内でも大企業から中堅・中小企業まで、幅広い規模・業種の企業に採用されている。既に紹介した通り、クラウドやSNS、AIなど、その時々の最新テクノロジーをいち早く導入するビジョナリーな先進企業としても広く知られる。
ソフトブレーンが開発・提供するSFA/CRMアプリケーション。国産SFA製品の代表格であり、その使い勝手のよさは多くの企業から高い評価を得ている。また同社は単に製品を販売するだけでなく、その定着を支援するサービスを提供しており、現場に定着しにくいといわれるSFA製品の中にあって「定着率96%」を誇るという。
Microsoftが2015年にリリースしたSFA/CRMアプリケーション。競合製品と比べるとSFA製品としての歴史は浅いものの、マイクロソフト製品だけあり「Office 365」との連携性に優れ、操作性も他のマイクロソフト製品と同一であるため、Office 365ユーザーには親しみやすい。また、Salesforce.comより低コストで運用できることを理由に導入する企業も少なくない。
NIコンサルティングが開発・提供する国産SFAアプリケーション。同社では従来のSFAを「営業マネージャの管理業務を自動化するツール」と位置付け、それに対比する形で「現場の営業担当者をアシストする真のSFA(Sales Force Assistant)」を掲げている。AI技術の応用により、営業担当者おのおのにパーソナライズした営業支援を可能にするという。
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