SFAが周辺システムとの連携機能を強化する最大の理由は、狭義のSFAの機能だけではその効果に限界があるからだ。商談の成約率を高めるためには、商談の進め方を効率化・可視化することはもちろん重要だが、そもそもマーケティング部門から営業部門に引き渡されるリード(潜在顧客)情報の数や質が足りなければ、営業部門の頑張りにも限界がでてきてしまう。
そこで、マーケティング業務を支援する「MA(Marketing Automation)」のアプリケーションをSFAと連携させ、MAの仕組みを通じて抽出したリード情報をそのままSFAに引き継ぐアイデアが注目されている。これにより、マーケティングから営業に至る一連の顧客発掘〜営業活動のプロセスをスムーズにつなぐことができるからだ。
これには副次的な効果もある。マーケティング担当者と営業担当者が同じシステム上で同じ指標を見ながら議論することで、より円滑な意思疎通を図れるようになるのだ。
こうしたソリューションに最も力を入れているベンダーの1つが、SFA分野で世界最大のシェアを持つSalesforce.comだ。同社はSFA/CRMアプリケーションの「Sales Cloud」とともに、MAアプリケーションとして「Marketing Cloud」もラインアップしており、両者をシームレスに連携できる点をセールスポイントとして打ち出している。
同社はこの他にも、営業案件がクローズした後のカスタマーサービス業務を支援する「Service Cloud」など、SFA/CRMを取り巻くさまざまな周辺システムをクラウドサービスとして提供しており、自社サービスだけでマーケティングから営業、カスタマーサービスまでを一気通貫でカバーできることを強みとしている。
一方、SFAの導入・定着がうまく運び、その活用範囲が徐々に広がっていくと、CRMやMA、カスタマーサービスだけでなく、周辺のさまざまなシステムと連携しながら、より広範な情報を営業活動で活用したくなってくる。そうなると自ずと、サードパーティー製品やスクラッチ開発システムとの連携ニーズが持ち上がってくる。
かつての業務パッケージ製品やSaaSアプリケーションの中には、他システムとの連携性に難があるものも多かったが、近年の製品・サービスは当初から外部システムとの連携インタフェースを標準で備えたものが多い。例えば、国産SFA・CRM製品の代表格であるソフトブレーンの「eセールスマネージャー」は、代表的な名刺管理ツールやグループウェア、MA、BI、ワークフローツールと連携しており、それぞれのツールの強みを生かした運用が可能だ。
中には、単にデータをバッチ処理でやりとりするだけにとどまらず、互いにデータを自動的に同期させる高度な連携が可能な製品・サービスもある。eセールスマネージャーを例に挙げれば、代表的な名刺管理ツールやグループウェア、MA、BI、ワークフローと連携しており、それぞれのツールの強みを生かした運用が可能だ。これによりユーザーは、複数の社内システムに同じ情報を入力する手間を省くことができる。
こうした利便性の向上は、現場の業務効率を向上させるだけでなく、SFAの利用を現場に定着させるという意味でも効果が大きい。
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