SFAの定着を促すには、その導入プロジェクトの進め方にも工夫が必要だ。よくありがちな失敗例の1つが、SFAの導入時に仕様を詰め込みすぎて、あまりにも多くの機能や入力項目を設けてしまったばかりに、かえって現場ユーザーにとっては使いにくいシステムに仕上がってしまったというケースだ。
通常、システムを導入・運用する際、初期導入プロジェクトには多額の予算が割り当てられるものの、完成後に手を加える際には予算が通りにくく、都度苦労して予算を申請・確保する必要がある。そのため、どうしても初期導入時にできるだけ多くの機能を詰め込む傾向がある。
しかし、そうやって将来使うかどうかも分からない機能を「あれもこれも」と盛り込んだ結果、画面上に項目がびっしり並んでしまうと、いかにも取っつきにくいシステムが出来上がってしまう。SFAも例外ではなく、そのように出来上がったシステムは大抵の場合、営業現場のユーザーには歓迎されない。
従って、現場で広く使われて業務に定着するSFAを実現するには、無駄な機能は極力省き、必要最低限の入力項目だけを用意してなるべく現場ユーザーが使いやすい、情報を入力しやすいシンプルなインタフェースを提示することがポイントだ。
Salesforce.comでは同社の製品を導入する企業に対して、まずは必要最低限の入力項目だけで運用をスタートできる形に画面をカスタマイズすることを推奨しているという。また同社の製品は、クラウドプラットフォーム上の開発ツールを使って容易にカスタマイズできるため、後々に項目を追加する際にも必要最小限のコストと手間で済むという。このように、スモールスタートと後々のシステム拡張の柔軟性は、システムの定着を促す上でも重要な選定ポイントだといえる。
ここまで紹介してきた数々のポイントを押さえても、なおSFAがなかなか営業現場に定着しないこともあるかもしれない。そのような場合には、外部の支援を仰ぐのも1つの手だ。現在、さまざまなコンサルティング会社やSI企業が、業務改革コンサルティングや製品・サービス導入支援の一環として、SFAを企業の営業現場に根付かせるための支援サービスを提供している。
eセールスマネージャーを開発・提供するソフトブレーンも、そうしたコンサルティングサービスを提供する企業の1社だが、同社はeセールスマネージャーを導入した企業に対して、保守サービスの一環として現場への定着を支援するサービスを提供している。
これは製品のサポートサービスとは別に、業務への定着支援に特化したスキルを持つ専門チームが提供するサービスで、eセールスマネージャーの利用履歴を記録したログを基にその企業における利用状況を分析し、各社に応じた定着支援の施策をアドバイスする。こうした取り組みが功を奏してか、eセールスマネージャーの定着率は96%に達するという。
Salesforce.comもまた、ユーザーがオンラインで、ゲーム感覚でSFAの機能詳細を学べるプログラムを用意している。基礎の確認から、まとまった学習が必要なもの、ハンズオン形式で学べるものなどもあり、誰でも(ユーザーでなくても)学習することができる。
導入後の定着に不安を持つ企業は、製品選定の段階からこうしたサービスの利用を検討してみるのも手だろう。
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