最後にWAN高速化ツールの導入状況を尋ねたところ、47.3%が「導入していない」と回答、導入率は12.2%にとどまる結果となった。導入形態はアプライアンス型が過半数を占め、次いでソフトウェア型が続き、SaaS型はごく少数であった。
一方でWAN高速化ツールの導入状況を「分からない」とする割合も38.3%と、全体からすると少なくない。そこで代表的なWAN高速化ツールベンダーの認知度を尋ねてみた。その結果「シスコシステムズ」が60.3%、「ジュニパーネットワークス」が41.9%、「シトリックス・システムズ」が41.0%、「F5ネットワークスジャパン」が35.2%、「ブルーコートシステムズ・シマンテック」が33.4%と続く認知度となった(図2-2)。
データセンターの集約や業務システムのWebアプリケーション化、SaaSアプリケーションの採用などに伴い、企業内のネットワークトラフィックは複雑になり、トラフィック量も増加している。Office suiteなど、利用者が多いアプリケーションをSaaSに切り替える場合には、トラフィックの最適化だけでなく、SSL通信のための暗号化の負荷にも対応しなければならない。さらに、暗号化通信のセキュリティ面でのリスクも考慮した対策も検討したいところだ。
ここまでで、「通信環境の問題有無」や「ネットワーク利用の問題」「WAN高速化ツールの導入状況」を見てきた。
SaaSアプリケーションなど、業務環境の通信に課題を感じる声は多かったものの、WAN高速化ツールの導入率は12.2%にとどまっていることが明らかとなった。また、通信環境に課題があることは明らかなものの、原因を究明し切れていなかったり、現状のトラフィックを評価する環境がなく、WAN高速化ツールなどの導入効果を推定する材料を持っていないという声も聞かれた。こうした課題にもWAN高速化ツールが持つ機能で対処できる可能性があるが、費用対効果の見えにくさが導入障壁になっているものと考えられる。
次回は、WAN高速化だけでなく、WAN環境全体を統合し、運用を効率化すると期待されるSoftware-Defined Wide Area Network(SD-WAN)の認知度や検討意向を見ていく。
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