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» 2017年08月23日 10時00分 公開

ITの進化がもたらす「ひとり情シス」の活躍機会すご腕アナリスト市場予測(1/3 ページ)

IT管理や運用を担う「ひとり情シス」の実態を明らかにつつ、限られた人員でインフラ整備を効果的に行うための方策について解説する。

[岩上由高,ノークリサーチ]

アナリストプロフィール

岩上由高(Yutaka Iwakami):ノークリサーチ 早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品およびビジネスの企画、開発、マネジメントに携わる。ノークリサーチでは技術面での経験を生かしたリサーチ、コンサルティング、執筆活動を担当。


 中堅・中小企業では1人で社内のIT管理、運用を担う「ひとり情シス」と呼ばれる状態が多く見られる。その中でも、総務や人事などの業務をこなしつつIT管理、運用を担っている「兼任型ひとり情シス」は全体に占める割合も多く、担当者の負担も大きい。

 一方、昨今ではクラウドを始めとするITの進化により、限られた人数で社内のITインフラを整備することも不可能ではなくなってきている。そこで、本稿では最新の調査結果を元に「ひとり情シス」の企業がITインフラ整備を効果的に進めていくためのポイントは何かを探っていくことにする。

日本企業におけるIT管理、運用業務の実態とは?

 まず、IT管理、運用における企業の実態を確認しておこう。以下のグラフは日本全国の全ての年商帯(年商5億円未満の小規模企業、年商5億円以上〜50億円未満の中小企業、年商50億円以上〜500億円未満の中堅企業、年商500億円以上の大企業)を対象に、IT管理、運用の人員規模を尋ねた結果である。ここではIT管理、運用を主な業務としている「専任」の場合と、総務部門、人事部門、本業にかかわる現場部門などに所属しつつIT管理、運用の業務をこなす「兼任」の場合の双方をまとめて集計している。

IT管理、運用の人員規模 図1 IT管理、運用の人員規模(専任、兼任の双方を含む)(全年商帯)(出典:ノークリサーチ「Quarterly Report2017年春版」)

 「ITの管理、運用を担当する役割を持つ社員が1人いる」という選択肢が「ひとり情シス」に該当する。上記のグラフが示すように、「ひとり情シス」の割合は全体の約3割に達していることが分かる。年商規模が小さくなるにつれて、この割合は高くなる。企業におけるIT活用を考える上で、「ひとり情シス」という状態は無視できない要素であるわけだ。

 さらに以下のグラフは「ITの管理、運用を担当する役割を持つ社員が1人いる」と回答した企業に対して、「専任と兼任のいずれの形態でIT管理、運用を担当しているか」を尋ねたものだ。

「ひとり情シス」における専任、兼任の割合 図2 「ひとり情シス」における専任、兼任の割合(出典:ノークリサーチ「Quarterly Report2017年春版」)

 「ITの管理、運用を担当する役割を持つ兼任の社員が1人いる」と回答した企業が8割超に達していることが分かる。つまり、「ひとり情シス」の8割は本来の業務をこなしながらIT管理、運用を担っている「兼任」であるわけだ。こうした「兼任型ひとり情シス」が多くを占める状況が日本の企業、特に比較的規模の小さな中堅・中小企業や小規模企業におけるIT管理、運用の実態といえる。

  「ひとり情シス」といった場合、「人数が1人であること」だけに着目してしまいがちだが、むしろ重要なのは「兼任が多くを占めること」だ。「兼任型ひとり情シス」の多くは本業においても多忙な日々を送っている。ITスキルを高めたいという意志はあっても、そのための時間を確保することは難しいはずだ。

 「IT管理、運用を担う担当者がITスキルを高めて、経営に役立つIT活用提案を行うべき」という提言を目にすることも多いが、そのためには「兼任型ひとり情シス」が抱える日々の業務負担を減らすことが必要となる。とはいえ、中堅・中小企業や小規模企業にとっては専任のIT管理、運用を配置することも容易ではないだろう。そこで、後述するようなさまざまな工夫が重要となってくる。

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