SFAを導入したのに業績停滞、営業未達は3期連続、退職者が増え……。どん底を味わった企業が取り組んだ営業改革はどんなものか。そしてAIは営業の仕事を人間から奪うのだろうか。
営業活動強化のために営業支援システム(SFA)を導入、さまざまなデータを基にしてKPI(主要業績評価指標)を設定し、営業活動の強化は万全――のはずだった。だが、業績は停滞し、売上高が伸びず、営業未達成は3期連続……。社内のモチベーションは低下し、中堅社員を含む営業メンバーの2割が会社を辞めた。
これは、企業のBI支援と帳票出力エンジンを提供するウイングアーク1stで本当に起きた話だ。どん底からの脱却を目指し、同社は営業改革に着手。2011年にシステムをSalesforceに入れ替え、データを徹底活用することで2016年には同社のパッケージ販売が昨対比132%、クラウド事業販売が253%という高い伸びを記録するまでに至った。
「決してSalesforceを入れただけで業績アップにつながるというわけではない」と語るのは、同社の営業・ソリューション本部で副本部長を務める久我温紀氏だ。重要なポイントは、データをしっかり投入し、それをどう見るかだという。
2017年9月26、27日に開催されたイベント「Salesforce World Tour Tokyo2017」で語られた同社の取り組みを紹介しよう。
改革の話に入る前に、それ以前のウイングアーク1stの営業部内における作業を棚卸ししてみよう。2006年にSFAを導入する前は、社内に「Excelシート」が飛び交っていた。久我氏はExcelでの作業は多くの課題があると振り返る。
「数字が上がるタイミングと発生がずれ、判断もずれる。営業メンバーの作業時間が費やされる。手作業だからミスがある。現場の階層があるため、そこで『鉛筆なめなめ』が行われてしまい、実態とずれるなどの課題が多すぎた」
そこで久我氏は、3つの目指すべきポイントを考えた。
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