ここからは、日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部営業推進部第一課の岡田正成氏による社内実践を見ていこう。ちなみに、同社は、Nutanixソフトウェアを搭載したLenovoのHCI製品とWorkspotを組み合わせたソリューションを展開しており、同社社内実践はいわばそのショウケースともいえる。
本稿冒頭で言及したように、オフィススイートなどのSaaSサービスは機能が限定的なことが多く、また、アクセス元の端末からデータを持ち出された場合の対策が難しい。一方で、VDIだけの場合、画面サイズの小さなデバイスからアクセスした際に、最適化する機能は持ち合わせていない。
こうした課題に対して同社はWorkspotクライアントを利用することで、VDIはもちろんOffice 365のようなSaaSへもセキュアなアクセスとSSOを実現。マルチデバイスにも対応しているため、ユーザビリティを損なうことなくVDIとSaaSを同じセキュリティポリシーの元で管理できるようになったという。
ここでのポイントは、Workspotクライアントを配布することでSaaSアプリ利用の安全性を高め、柔軟なワークスタイルを実現するのと同時に、VDIの利用を、本来必要とする人員のみに限定できたことだ。
社外でちょっとした資料のレビューができれば十分、というケースではSaaSアカウントの配布に限定しておくことで、柔軟さと安全性、コスト削減の3つを実現できたという
同社がトライアルで検証した結果「現時点で既に意思決定は3倍の速度に、ライセンスコストは70%削減、残業時間は30%削減」(岡田氏)したという。これを全社展開すれば、大きな効果を見込めると見ている。
Wrokspotは、VDI市場をけん引してきたVMwareやCitrixといった企業で活躍してきたメンバーが創立した企業。
Peterson氏はWorkspotが注目される理由として、「コスト面で有利な点。次にVDIの「接続」の問題を解決している点。さらにメンテナンスがシンプルである点が挙げられる」と語る。
コスト面利点は前の事例で紹介した通りだが、VDIではActive Directoryと連携した認証やファイルサーバへのアクセスがよく問題になるが「コントロールプレーンとデータプレーンをコネクターで接続しつつ、クライアントから柔軟にアクセスするアイデアを持つWorkspotはこれらの課題を解決できる」という。メンテナンス性についても複数のデータセンター、あるいはグローバルに散在する拠点を、共通のポリシーで一元化できることは前述の通りだ。こうした特性は、企業全体で働き方改革が求められている日本企業に適したソリューションだという。
「VDI 2.0は、いま日本の企業が求める『働き方改革』を実現する際の現実的な解だと考える。セキュリティやITガバナンスを両立し、さらに運用管理の効率化とコスト削減に貢献できるため、効果も見えやすいだろう」(Peterson氏)
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