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コネクテッドカープラットフォームの本命となるか、「AGL」とは?5分で分かる最新キーワード解説(2/4 ページ)

» 2017年10月18日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

オープンな車載用ソフトウェアプラットフォームの必要性

 現在の自動車にはECU(Electronic Control Unit)と呼ばれるコンピュータが多数(ときには100以上)組み込まれ、ソフトウェアも多様なものが実装される。制御系のECUにはOSを必要としないものやリアルタイムOSがふさわしいものがある一方、情報系のECUではインターネットを介して情報のやりとりを行い、GPSを利用した位置情報サービスとそれを活用するナビゲーション、音楽、動画などのエンターテインメント、電子メール、インターネット上のニュースなどの情報検索といった機能が盛り込まれるようになってきた。

 またフロントガラスの視界を確保しながら基本的な運転情報を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)や従来のメーターに替わる情報パネル、車体のリアやサイドのカメラからの映像をバックミラーに映し出すバックミラーモニター、ADAS (Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)なども車載情報系のECUが担う。さらにスマートフォンなどモバイル端末に慣れた自動車利用者は、車内、車外を問わず同等の情報利用環境を求めるようにもなっている。

 現在では、これら機能搭載の有無と品質が自動車販売の競争力の鍵と見なされるようにもなってきた。自動車のメカニカルな性能やデザインが競争力の源だった時代から、ソフトウェアの取りそろえと個々の品質や機能の優劣がより重視されるようになってきたわけだ。

 多機能化を図る上ではソフトウェアの開発やメンテナンスのしやすさは重要な要素になる。信頼性を担保した上で、できるだけ低コストで短期開発、メンテナンスができなくてはならない。それはより早期に新技術を取り込むことにつながり、またメーカー独自の機能追加のための開発に割く時間を十分に取ることにもなる。そのためには各種システムに共通する機能をパッケージ化して、その上に独自の拡張機能やアプリケーションを構築できるプラットフォームがあることが望ましい。そこで標準OSと関連ソフトウェアをパッケージ化するAGLが有望視されているわけだ。

コネクテッドカー時代のソフトウェア開発の課題 図3 コネクテッドカー時代のソフトウェア開発の課題(出典:NTTデータMSE)サプライヤーは、独自に開発するため機能は同じでも、ソフトウェア、ハードウェアが異なり、(1)コストや開発規模の増大、開発期間の長期化、(2)新技術をすぐに取り込めない、(3)メーカー独自機能に注力できないなどの課題が顕著化

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