顧客接点を最適化するには5社の顧客を名寄せしなければ始まらない。自社で試行錯誤を繰り返し、内製で新しい「顧客情報分析基盤」を構築したLIXILの狙いを聞いた。
デジタル変革を実現するには、まずはデータを中心にビジネスを考える風土を作る必要がある。それ故に「データレイクを持つことが重要だ」という提言を聞くことも少なくない。
それでは企業は具体的にどのように活動すればよいのだろうか?「データを保管せよ」「デジタル化していないものをデジタル化せよ」「見えないもを可視化せよ」といったように具体的な手法を見いだしにくい課題だけに、実践に悩む企業は少なくないだろう。最近では、CDO(最高デジタル責任者)のようなデジタル変革専任の責任者を招き入れて推進する組織も少なくない。しかし、ここでは「まずは自社の情報分析基盤を自分たちの力で新調する」というアプローチを進めている企業に注目したい。キーワードは「ブラックボックスを作らない内製化」だ。
本稿では、2017年10月11日に開催されたイベント「Data Platform Conference Tokyo2017」(ホートンワークスジャパン主催)のLIXILによる講演から、データ基盤統合の取り組みを紹介する。
LIXILは、2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ、東洋エクステリアの5社が合併して誕生した企業。住宅やオフィス、商業施設などの建材、設備機器を一気通貫で供給するメーカーだ。
現在ではAmerican Standard Brands、GROHE、Permasteelisa Groupといった海外企業の買収・統合も進めており、ホームセンター事業などを含むグループ全体の従業員数は世界で7万人を超える(本稿執筆時点)。
5つの企業が合併するとなると、企業の業務オペレーションに関わるシステムをどう統合するかが大きな問題となる。同社では基幹システム統合プロジェクトを推進しているが、現段階では「重要な情報が各所に点在するシステムに散在している状態」(LIXIL 情報システム本部Information Excellence部 船水 孝宥志氏)。
結果として、同じようなデータ分析を複数の部門が別々に実施するという無駄が発生していた。そこで、データを扱う全員が同じ数字を見て、同じように状況を把握できる環境(同社ではこれを「One True Number」と呼ぶ)を目指すべく、新たに情報分析基盤を構築することとなった。
具体的には、業務システムからデータを抽出して各種KPIを含む「定型レポート」を提供するのと同時に、高度なデータ解析のための基盤を構築するプロジェクトである。プロジェクトのゴールは、新情報分析基盤で(1)KPIとレポートの標準化、(2)5社の顧客情報の統合、(3)営業活動のデータ化と分析を実現することだ。
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