一方のG Suiteはかなりシンプルだ。「Basic」「Business」「Enterprise」の3種類のプラン(エディションと表現することもある)があり、それぞれ契約期間別に月契約の「フレキシブルプラン」と年契約の「年間プラン」での購入が可能だ。販売代理店により取り扱う契約プランが異なるので必要に応じて確認してほしい。
「Google Apps」と呼ばれていた頃(2016年9月)は現在のBasicに相当するプランとBusinessに相当するプランの提供のみであったが、現在ではEnterpriseという上位プランが提供されている。
BasicはG Suiteを利用してコラボレーションをする上で必須となるサービス(メール、カレンダー、ドキュメント作成、ビデオ会議など)を提供しているプランとなる。その上位プランに当たるBusinessはクラウドストレージの容量が無制限で、その他メール、チャットやドキュメントのアーカイブなど、G Suiteを効率的かつ安全に業務利用するために必要な機能が追加されている。また、機械学習(AI)を利用してユーザー個人に合わせたドキュメントをプッシュ通知する機能や、G Suite内の横断検索や名前情報による検索もサポートする新しいアシスタントサービスの「Cloud Search」も提供されている。
さらに上位のEnterpriseでは、情報漏えい対策のDLP機能やビッグデータ解析の「Big Query」などが利用できる。
G Suite導入案件として筆者が受ける問い合わせの半数近くがG Suite Businessを前提としたものだ。また、最近はBasicを利用している企業のBusinessへのアップグレードも盛んになっている。
Businessプランの最大の魅力はメールやGoogleドライブ(クラウドストレージ)に無制限でデータを保存することができる点であろう。高度なドライブ監査ログやアラート機能もあるので、無制限のストレージも安心して利用できるだろう。
ちなみに、Googleドライブは1ファイルのアップロード上限が5TBとなっているので、通常の業務で利用するファイルはほぼ全てクラウド上にアップロードが可能といってよい。
また、先日(2017年9月)にリリースされた「ドライブ ファイルストリーム」を利用すると、Googleドライブをあたかも外部ストレージのように利用をすることができる。このドライブファイルストリームにより、今までGoogleドライブで不満の多かったMicrosoft Officeとの親和性が高くなった。これにより、Googleドライブ上のファイルをローカルのOfficeで直接開き、ファイルを編集することを実現したのである。
該当ファイルは、いったんPCのローカルにダウンロードするといった必要がなく、そのままクラウド上に保存しながら編集できるため、ネットワーク帯域やローカルディスクの消費および同期のためのリソース消費を抑え、かつセキュリティ面も安心して利用できる。
BusinessプランとEnterpriseプランのユーザーには「チームドライブ」という共有フォルダの機能も提供されているため、社内のファイルサーバを撤廃してG Suiteに移行することでさらなるコスト削減も図れる。
これまでみてきたように、Office 365、G Suiteには多様な製品プランが用意されている。本稿で自社に適する製品プランが絞り込まれてきたのではないだろうか。最終的にどのプランが最適なのかは、Office 365、G Suite共に製品販売パートナーである富士ソフトに問い合わせていただきたい。
※本内容は、2017年11月8日時点の内容です。クラウドサービスのプランは変更になる可能性があります。
大川典久
富士ソフトに入社以来、Microsoft製品を扱う部署に所属し、「SharePoint Server」の技術者として多くのプロジェクトに参画。現在はOffice 365をはじめとしたMicrosoftのクラウドサービスを中心にセミナーの企画を手掛け、プレゼンターとして活動している。
脇本孝太郎
2009年からGoogle Appsビジネスに従事し、営業およびプリセールスとして活躍している。多種多様な業種のGoogle Apps導入プロジェクトに参画してきた。現在は担当領域を広げ、Google Appsだけでなく「Salesforce」など他のサービスを含めた業務改善やワークスタイル変革について、提案やセミナーのプレゼンターとして活躍している。
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