期待する機能があるということは、現状に課題があるということでもある。そこで全体に対し、ERPに代表される基幹業務システムの利用や運用に関して抱えている課題や問題点をフリーコメントで聞いたので、大きく分類して以下に紹介する。
部門ごとに開発したシステムを連携させていたり、社内運用がバラバラであったりすることで運用負荷がかかっている中で、それらに対応する開発や運用保守にあたる人材不足や経営陣や他部署の意識不足など「人」の部分でも課題が浮き彫りになっている様子が垣間見えた。
また、自社開発やオンプレミス開発で見られるシステム拡張性における問題、OSやソフトウェアのライフサイクル問題(関連記事)など、「現状のERPシステムそのものは成熟しきっている」という意見がある一方で、まだまだ企業のビジネスニーズに合致しきれていない基幹システム運用の課題も浮き彫りになった。
この他、SIerの視点からは「10年以上利用する前提の顧客にどう対応していけばよいか」という切実な課題も聞こえてきた。
前述のように、ERP導入企業ではハードウェアの減価償却やサーバやミドルウェアを含む各種ライセンス切れなどが定期的に発生するため、その都度対応に迫られる状況がある。しかし、そもそも自社業務に合わせたカスタマイズなどが多いため、時々の環境に合わせたメンテナンスが間に合っていないという声も多く、人材不足や意識不足も相まって運用負荷を増やす一因となっている。
こうした問題を解消するには、パッケージ標準に業務を合致させる、カスタマイズが必要な業務を見直して「断捨離」する、といった判断が必要だ。こうしたとき、特にSaaS型のERPのように標準ワークフローを前提としたツールの検討は少なくないものと想定していたが、実際には、クラウド型のERPへの移行を検討する企業は相対的に少ないという結果になった。
前述したERP検討者(リプレース・新規導入)の声も、カスタマイズ性を重視したり自社開発を検討したりする声が依然として多く見られた。
パッケージやサービスに合わせた業務の標準化と効率の良い運用体制への移行を推奨する声もあったが、全体から見ると少数派にとどまる結果となった。
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