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チャットボットが企業に与えるインパクトすご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)

» 2017年11月22日 10時00分 公開
[長谷佳明野村総合研究所]

回答候補へ導く「絞り込み型」と嗜好や意図に沿った解を見つけ出す「探索型」

 限られた「シナリオ」の中で効果をあげるために重要なものが、活用する側のシーンに合わせた技術の選択である。チャットボットには、事前に定義した回答候補へ導く「絞り込み型」と、会話によって相手の嗜好や意図に合わせた解を見つけ出す「探索型」があると筆者は考えている。

 絞り込み型の代表的な活用シーンは、コールセンターにおける顧客からの問い合わせである。この場合、通常、質問内容はある程度想定できるため、事前に用意したQ&A集やマニュアルを用いて回答することがほとんどであり、相手によって回答が変わることはない。相手によって変わる事が無い点は、業務システムの入力をチャットボットによってエスコートする場合も同じである。

 一方、探索型の活用シーンとしては、顧客との会話を通じて臨機応変に答えを探す必要がある商品提案などのコンシェルジュタイプのサービスが挙げられる。例えば、「友人に気のきいたプレゼントをしたい」という相談に対する回答は、想定予算や相手の年齢だけを尋ねたところで、ありふれた提案はできても、相手にマッチした気のきいた商品を探すことは難しい。相手の趣味や嗜好、ライフスタイル、さらには過去のプレゼントなども聞きだしながら、会話を進めなければ、最適な答えは見つからないだろう。

 このように、相手の嗜好に強く依存するタイプの相談に対する答えは1つではなく、会話のシナリオを事前に定義することが難しい。探索型では、一次受付や簡単な作業はチャットボットに任せ、答えを探索するという知的作業が求められる部分は人間が行う「ハイブリッド」型のサービスが現実解といえるだろう。ボットと人間のそれぞれの長所をうまく組み合わせた形だ。

 プラットフォーマー側でも、チャットボットと有人チャットとを切り替えることができるAPIの整備を進めており、例えば、LINEは、2017年4月に「LINE Customer Connect」、Facebookは、2017年7月にリリースした Facebook Messenger Platform 2.1で「handover」機能として対応している。

チャットボットの主な2つの活用シーン 図4 チャットボットの主な2つの活用シーン(出典:野村総合研究所)

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