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ディープラーニングを大幅短時間化「MN-1」って何?5分で分かる最新キーワード解説(3/5 ページ)

» 2018年01月24日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

学習スピード向上は何を生むのか?

 学習スピードが上がることは、自動認識や自動制御を必要とする、あらゆる製品やサービスの開発と展開、運用のサイクルを短期化することにつながる。例えば映像解析による製品や建築物などの外観検査の省力化、工場内設備などの異常検知・故障予測、創薬、医療やヘルスケアサービスの高度化など、さまざまな領域のビジネスの競争力にやがて直結すると考えられている。

 だからこそ各国の研究機関と大企業、専門研究者を中心に据えたベンチャー企業などが、時には国からの助力も得ながら積極的にディープラーニング研究と実用化に取り組んでいる。

 しかし、研究機関でもなく、投資余力も少ない一般の民間企業では、ディープラーニングに興味はもっていても、多くはこれまで傍観するしかない状態だったといえるだろう。本格的に取り組めないのには、恐らく次のような理由があるのではないだろうか。

  • 計算機資源を調達し、運用していくコストの問題
  • ディープラーニングの専門ノウハウをもつ技術者の欠如
  • 学習対象となるデータの保管・運用管理方法が課題
  • システム開発の仕方が分からない

 「MN-1」および「ChainerMN」の登場は、こうした課題への1つの解答を示しているようだ。「MN-1」のような汎用ハードウェアによるディープラーニング特化のオンプレミスシステム構築は、専用ハードウェアを用いるスパコン導入に比較して多少難易度は低いかもしれない。

 またスパコン専用のコーディングを覚える必要がなく、Pythonによるコーディングが可能で、既存の各種ライブラリを活用できるフレームワークであることから、開発やデバッグ、運用の負担は軽くなり、技術者を獲得、育成することも比較的容易だろう。学習のチューニングなどには専門知識やノウハウが必要になると思われるが、パッケージ化された製品ならベンダーサポートが受けやすいはずだ。とはいっても、オンプレミス構築のハードルはやはり高い。そこでクラウドサービスとしての利用が好適と考える企業は多いはずだ。

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