では、取り組みの結果はどうなのだろうか。実際に取り組みを行った方にその効果を聞いたところ、「とても効果が出ている」(3.8%)、「まあまあ効果が出ている」(52.0%)を合わせた、全体の55.8%は何らかの効果が出ているという結果になった。
残りの44.2%は効果が出ていないと回答しているところを見ると、働き方改革における企業の命運は大きく二分していることが分かる。ちなみに、結果を従業員規模別に見ると、「とても効果が出ている」と「まあまあ効果が出ている」と回答した企業は、それぞれ従業員数100人以下の企業が最も多かった。
また、何らかの効果が出ていると回答した人を対象に、具体的に効果の挙がった施策を調査した。その結果、前項の「既に取り組んでいる施策」で票を集めた「残業時間の削減」(71.2%)、「有給休暇の取得推進」(48.4%)、「フレックスタイム制度や時短勤務制度などの導入」(37%)が上位3位を占めた。
一方、「あまり効果が出ていない」という人を対象に、具体的な効果が見られない取り組みを聞いたところ、1位、2位とも同様に「残業時間の削減」(57.2%)と「有給休暇の取得推進」(36.6%)が並び、取り組み率の高い労務環境改善の項目が目立った。しかし、取り組みとしては5位にとどまっていた「テレワークの推進」(32.2%)が効果の出ない施策において3位に浮上したことは特筆すべき内容だ。
働く場所を社外にも広げるテレワークは、時間の有効活用を可能にすることから、生産性向上の一助になる施策として注目を集める一方で、制度の整備やITツールが不可欠であることが導入のハードルになっているのではないかと推測できる。
今後は、テレワークの推進に伴って関連するツールの需要もさらに拡大するだろう。ちなみに、「働き方改革を実行する上で必要となるIT製品やサービスは何か」という質問においては、テレワークに必要なツールの中でも「リモートアクセス(VPNなど)」(57.7%)が最も多く票を集めている。
VPN(仮想プライベートネットワーク)とは自宅や外出先から、社内で普段使用しているPCやサーバ、アプリケーションへの接続を可能にする技術だ。テレワークの際に、仕事に必要な資料やデータを持ち出す手間や、紛失のリスクを回避する手段としてニーズが高まっているのではないだろうか。
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