日本の生産性の低さ、長時間労働是正の波を受けて叫ばれる「働き方改革」。2018年も引き続き注目ワードとなりそうだ。1549人を対象にした読者調査を基にレポートする。
キーマンズネットでは、読者1549人を対象に「ITへの投資状況に関するアンケート調査」(2017年12月11日〜19日)を行った。
調査結果を踏まえ、キーマンズネット編集部が2018年に注目すべき7つのITトピックスを選定、「働き方改革」「改正個人情報保護法、GDPR対策」「Windows 10導入」「セキュリティ対策」「業務効率改善(RPA導入など)」「データ活用」「AI(人工知能)活用」について、その実態を1カ月にわたり順次掲載していく。
初回となる本稿で取り上げるのは、「働き方改革」だ。昨今、労働人口の不足や、G7の中でも最下位といわれる日本の生産性の低さ、長時間労働是正の波を受けて、「働き方改革」が叫ばれる。メディアでこの単語を目にしない日はないだろう。ベストプラクティスを見聞きする機会も増えており、2018年も引き続き注目ワードとなりそうだ。企業における取り組みの実態はどうなっているのだろうか。
調査の結果、働き方改革において幾つかの傾向を得ることができた。以下はそのサマリーだ。本稿で詳しく説明する。
調査結果サマリー
調査結果によれば、働き方改革に「既に取り組んでいる」と回答した企業は42.6%を占めた。また、調査や準備を進めているか否かにかかわらず、43.2%は、取り組む予定だと回答しており、企業における働き方改革への関心の高さが伺える(図1)。
従業員規模別に見ると、大企業ほど働き方改革に取り組む傾向が見えた。501〜1000人の企業では「既に取り組んでいる」と回答した方が42.8%であったが、1001〜5000人の企業では51.4%、5001人以上の企業では73.2%とその比率は高くなる傾向にあった。
全体として働き方改革の意識は高まっているものの、「ヒト、モノ、カネ」などリソースに余裕がある大企業を中心に、具体的な取り組みが進んでいると考察できる。
働き方改革の目的として最も多く票を集めたのが、「生産性の向上」(71.5%)だ。企業が競争力を高めるために、一人一人の生産性向上を重視していることが伺える結果となった。それに続き、「労働時間の削減」(62.2%)、「従業員の働き方の幅を広げる」(51.4%)など労働環境の改善に関する項目が上位に挙がっている。
一方、実際の取り組み内容を見ると、結果は逆転し、生産性向上を直接的に推進する施策よりも、従業員の労働環境の改善に主眼を置いた施策が上位を占めていた。具体的には「残業時間の削減」(77.7%)が最も多く、続いて「有給休暇の取得推進」(59.3%)、育児休暇や介護休暇制度の整備」(44.1%)、「フレックスタイム制度や時短勤務制度などの導入」(43.5%)が上位を占めた。
「テレワークの推進」(35.0%)や、「モバイルワークの推進」(32.4%)といった場所と時間を問わない働き方による生産性向上の施策は4位以下にとどまり、「女性活用の推進」や「シニア活用の促進」といった人材活用による生産性向上の施策は7位以下となった。
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