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RPAツール「RPA Express」は完全無料――WorkFusionローネンAPAC代表に聞く

» 2018年02月05日 10時00分 公開
[相馬大輔RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

現在国内で展開されているRPAソフトウエアは約15製品。そのほとんどは現在、定額制や従量課金などで有償提供されているが、海外では「完全無料」で提供しているRPAソフトウェアメーカーがある。ニューヨークに本社を置く、WorkFusionである。グローバルではそのシェアを伸ばしており、南アフリカやインドの大手銀行などにも導入し、効果の面でもすでに大きな実績をあげている。無料化の狙いと同社の事業戦略について、アジア・パシフィック地域マネージングディレクターのローネン・ラムダン氏に聞いた。

MIT発スタートアップが放った“フリーミアム戦略”

―無料で使用できるRPAツールを提供しているとのことですが、機能や使用期間を限定しないソフトウエアが無料で使えるということですか?

その通りです。当社のウェブサイトから無料でダウンロードでき、PC上でもサーバー上でも期限制限なく、完全なバージョンをご利用いただけます。(本文、最後に無料ソフトウェアダウンロードのご案内があります。)

また、ソフトウエアの基本操作についてはYouTubeで解説動画を公開しています(英語)。「趣味のウェブサイトを自動巡回するロボット」といった用途でもまったく構いませんので(笑)、まずは一度ダウンロードして、気軽に使ってみていただけたらと思います。

―WorkFusionは、もともとRPAツールを専門に開発してきたのですか。

いいえ。当社は2011年、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所で行われていた、会社組織の業務と作業者の適性を識別する研究をもとに設立された企業です。作業者ごとにミスが発生しやすい時間帯を予測する技術開発などを経て、現在は人間が「作業者」ではなく「マネージャー」として業務プロセスを効率化・自動化していくための製品群を提供しています。

当社製品のフラッグシップとなっているのは、RPAと機械学習、OCR(光学文字認識)、チャットボットなどを組み合わせた有償のソリューション「Smart Process Automation(SPA)」です。無料で提供しているRPAは、RPAツールとして完全な機能を提供している一方、作成したデータはそのままSPAに移行できる仕様となっています。

コアバリューは「AI」との連携、事務作業の85%が照準

―「業務効率化ツール」という大きなくくりで見れば、基本部分を無料で利用でき、高度な機能で課金される「フリーミアムモデル」に近い印象ですね。SPAの特徴はどのようなものですか。

SPAの大きな特徴は、複数のテクノロジーを組み合わせたことによって、事務作業全体の最大85%を自動化できるという点です。例えば、(テキストでの問い合わせにオンラインで自動応答する)チャットボットは単体で使う限り、同じ種類の問い合わせにはいつも同じ回答を返すのが基本です。これだけでは活用範囲は限定的ですが、そこへRPAも組み合わせ、基幹システムへの照会もシームレスに自動化すれば「取引コードを入力してもらって決済の状況を回答する」といった個別対応ができ、適応する業務が大幅に広がります。

RPAは業務を短期間に・しかも大きく効率化できるポテンシャルを持っていますが、単体では純粋な定型作業にターゲットが限られるため、適応するオフィス業務は全体の20%程度にとどまります。OCRや機械学習をRPAと併用することで、紙資料からデータを抽出したり、抽出したデータを要素別に整理したり、またメールの内容を読み解いたりした上で、その結果を踏まえた作業を自動処理することが可能になります。

より大規模な業務自動化、より高収益なビジネスプロセスへの思い切った転換への入り口になるテクノロジーがRPAであり、まずその使い方を多くの方に知っていただくため、われわれはRPA Expressというネーミングで無償提供しています。RPA Express で作成したデータはそのままSPAに移行でき、さらなる業務改善に役立てることが可能です。

RPA×AIは「今すぐ使えるテクノロジー」

―グローバルの導入実績とトレンド、特徴的な事例などをうかがえますか。

RPA Express は現在、世界約150カ国で2万5,000人のユーザーに利用されています。銀行・保険といった金融業の業務全般、またそれ以外の幅広い業界で財務・会計といった本社部門に採用されています。

RPAと機械学習の組み合わせは非常に目覚ましい成果を挙げています。例えばインドのある銀行では「口座開設」「貿易金融」という非常に複雑な事務処理への導入からわずか60日間で、いずれも55%の生産性向上を達成しました。また、アフリカの大手銀行では導入後12週間のうちに、従来20日かかっていた口座開設が10分まで短縮され、顧客サービスの大幅な向上にもつながっています。

抜本的にプロセスを変える決意のある企業にとって、自動化の適用範囲が広いわれわれの製品は、飛躍的な利益率改善に貢献できると確信しています。

―日本の潜在的なユーザーへ、最後にメッセージをお願いします。

単純なルールに基づく作業の自動化が「RPA1.0」だとすると、機械学習などを応用して非構造化データの処理やロボット多数台の運用を実現する段階は、ひとつ先の「RPA2.0」と位置づけることができます。ただ、これは決して未来の話ではありません。われわれの製品を使えば今すぐ実現可能な領域だということを、ぜひ知っていただきたいと思います。

おそらくはみなさんの多くと同様、私は少子高齢化に伴う人手不足が、業務効率化を進める絶好の機会になると感じています。当社にとっても大きなチャンスを秘めている日本の市場を、信頼できるパートナーとともに切り開いていきたいと願っています。

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