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画面で理解、ハイパーコンバージドインフラストラクチャの実力IT導入完全ガイド(5/5 ページ)

» 2018年02月13日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]
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 HCIは、パブリッククラウドのような使い勝手をオンプレミスの環境に展開する、まさにエンタープライズクラウド環境を実現するソリューションだ。だからこそ、従来の3Tierとは異なる考え方で運用ポリシーを検討する場面も出てくる。

HCIはソフトウェアを選ぶものだという視点に立つ

 通常HCIは、アプライアンスサーバやラックの形で購入することになるが、ハードウェアそのものは汎用(はんよう)的なものが中心で、超集約型の仕組みを実現しているのは通常のディスクを共有プールとして活用するためのSDSの部分であり、そのための運用を支えているのが仮想サーバを含めた運用管理を容易にする統合管理ツールだ。

 だからこそ、アプリケーションを搭載するためのサーバ選びではなく、アプリケーションを動かすための基盤運用を自動化、省力化してくれるソフトウェアに注目する視点が重要になる。ただし、製品によっては重複排除や圧縮などの機能をハードウェア側の専用ASICで実装するといった仕組みもあるため、調達のしやすさや拡張性などの点を十分に考慮したうえで製品を選びたい。

 またサーバやストレージをソフトウェアで制御できるのがHCIの特徴だが、仮想サーバ間をつなぐための仮想スイッチ機能は実装されているものの、HCIの外にあるスイッチやADC、ファイアウォールなどのネットワーク機器は個別設定する必要が当然ある。

 この部分についても、SDN(Software Defined Network)機能の実装によって全て運用管理ツールから制御しようという動きもある。ソフトウェアによってどこまで拡張していくのかといった将来像についても見極めたうえで、製品選びを検討したい。

重要になるパートナー選び

 HCIは運用保守の面で大きな効果が得られるソリューションだが、そのパートナー選びは重要だ。日本の場合、自社で導入、運用するよりもインテグレーターに委託するケースが少なくないが、このパートナーであるインテグレーターがHCIに慣れていないと、期待されていた効果が得られないケースも少なくない。

 例えば、仮想サーバの払い出しを行う場合、HCIであれば数分の間に行うことができるが、その作業のための契約や費用交渉、実作業、レビュー、設計書をはじめとしたドキュメント作成など変更管理に関連した従来型の運用プロセスをそのまま当てはめると、作業そのものがシンプルな割には作業コストがあまり軽減されないことになる。

 ノード追加についても、従来通りのキャパシティープランニングを職人技でやるような運用を続けていれば、コスト削減にはなかなかつながらない。HCIの特性を理解したインテグレーターをしっかりと見極めるのも、HCIのメリットを生かすうえでは重要になる。

 他にも、HCIの場合はサーバやストレージなどを全てソフトウェアで制御していることもあり、管理ツールがかなり高度化されている。何か障害が発生すれば影響度合いを最小限にする機能が備わっているのだが、その分システム内部で日常的にチェックしている項目が多岐にわたっており、原因究明も従来のようなトラブルシュートのプロセスを踏まずとも、メーカーサイドでいち早く解析できるような環境が備わっていることも。HCIに適したトラブルシュートのプロセスをインテグレーターが理解しているかどうかといった視点も必要になる。

ロードマップも含めて検討すべし

 一般的に製品を導入する際には、機能の優劣を比べるための比較表を作成することが少なくないが、ことHCIについては機能の優劣が付けがたい部分があるため、あまり機能比較をすることはお勧めしない。

 なぜなら、全ての機能がソフトウェアによって提供されているため、一般的な製品に比べてかなりのスピード感でアップグレードが行われることになる。あるタイミングでは確かに機能の優劣はある場合もあるが、次のバージョンでは実装されている、なんてことも少なくない。実際には機能改善に向けたロードマップが明確になっていることも多いため、もし機能を見極めるのであればロードマップも含めて検討したい。

 なお、機能のアップグレードもさることながら、バグフィックスのためのバージョンアップも同時に行われることが一般的であり、ある意味iPhoneにおけるIOSのアップグレードのようなイメージでとらえたほうが分かりやすい。

 そのため、一度運用が始まるとインフラ部分のバージョンアップを行わないといったポリシーを掲げている場合は、その方針は改める必要が出てくる場面も。ただし、管理性能が向上することを最大のメリットとして導入する企業もあり、入れた状態を“塩漬け”にして運用する企業も実際にはある。

必ず触って確認したい

 HCIは導入の容易さもさることながら、日々の運用管理やリソース拡張などがシンプルに行えることが大きなメリットだが、それを実行するための管理ツールについての使い勝手は事前に確認しておきたいところだろう。機能的には同じことができる仕組みでも、そのプロセスや設定のしやすさなどは大きく異なるからだ。

 もともとHCIに期待するのは、パブリッククラウドのような使い勝手の良さでインフラの運用管理やリソース追加ができるインフラであり、その柔軟な仕組みがオンプレミスであっても実現できることだ。だからこそ、その使い勝手についても、パブリッククラウドのような使い勝手の良さが提供されているか、実際のUIやUXをしっかりと確認した上で、製品選定をするべきだ。

 UIやUX部分は機能比較では出てこない部分であり、実際に表現しにくい部分ではあるが、パブリッククラウドの利用体験がオンプレミスでも可能かどうか、見極めたいところだ。

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