「痴漢冤罪(えんざい)」は電車通勤をするビジネスパーソンにとって大きな脅威だ。まったく身に覚えがないのに痴漢の加害者に仕立て上げられたなどという話を耳にすると、ただでさえ乗りたくない満員電車にもっと乗りたくなくなるというものだ。
しかし、満員電車を避けて通勤する、もしくは通勤せずに毎日テレワークで働くなんてことは、働き方改革が叫ばれている昨今だとしてもハードルが高い。
ならば「自衛をしなければ!」ということになるのだが、ナニをどうしたら良いものなのかと迷える男性諸氏に福音だ。痴漢冤罪問題を解決するデジタルガジェットが登場するというではないか。一体どのようなガジェットなのか?
デザイン事務所の社長を務める山田敬宏氏を中心に、有志が「痴冤証明」(仮称)というサービスを開発中だ。「痴冤(ちえん)」は「痴漢冤罪」の省略形で、スマートフォンのアプリと専用のブレスレットを使う。
痴冤証明のユーザーは、専用ブレスレットを両手首に装着して電車に乗る。ブレスレットには小型カメラが2基内蔵されていて、常時ユーザーの手元周辺の動画を撮影する。そして撮影データはスマホを経由してクラウドに保存される。
イザ事案が発生、つまり乗車していたユーザーの近辺の女性が「痴漢だ!」と騒ぎだし、自分としてはまったく身に覚えのない痴漢の加害者として疑われるような事態になったら、おもむろにアプリを起動してサービスセンターへ連絡するのだ。
緊急連絡を受けたサービスセンターの担当者は、提携する弁護士へと連絡し、それと同時に該当する動画も送信する。弁護士は即時その動画を確認して「冤罪だ」と判断したら、「痴冤証明書」を発行してユーザーのスマホ向けに送信する。痴冤証明書には、弁護士の著名はもちろん、位置情報や時間情報など各種データが記載され、それを提示することで「自分は痴漢をしていません」ということを強く主張できるというわけだ。
ポイントは、このサービスを利用して冤罪を証明するまで、ユーザーの操作は「スマホだけ」というところ。既に痴漢冤罪の解決をうたう保険や弁護士のサービスが存在するが、混み合った車内やホームで大勢から疑惑の目で見られ、自称被害者や駅員に詰め寄られる異様な状況で、「私はやっていない!」と声を上げるだけでなく、冷静に電話連絡して担当者や弁護士と会話するなんてことができるとは思いにくい。
その半面、このサービスを利用していればいつも携えているスマホをポチッとするだけで、弁護士のお墨付きで「私はやっていない!」と言える。まさに、ITの加護といえるだろう。そして無事冤罪が証明されれれば、それこそITの勝利ということになるのではないだろうか。
なお、ブレスレットで撮影した画像については、ユーザーが確認したり再生したりすることができないそうだ。客観的な証拠として使うためにも、またユーザーが悪用しないための仕様だ。
この痴冤証明サービスは、起業体験イベント「スタートアップウィークエンド」の愛媛大会(2017年11月10日開催)で優勝した。2018年3月2日の全国大会でも発表される。開発を進めている山田氏は今後の事業化を見据え、機材レンタル料を含めても月額980円程度で提供することを検討している。「まさか自分に冤罪なんて……」と誰もが思うかもしれない。しかし転ばぬ先の杖、正式提供されたら俺も利用を考えようかと思っちゃうな。
上司X: スマホ+専用ガジェットを使った痴漢冤罪防止サービスが始まるかもしれないという話だよ。
ブラックピット: 「痴冤証明(仮)」ですか。いいネーミングじゃないですか。
上司X: 何でも「痴漢冤罪が怖いから電車に乗りたくない」という人もいるぐらい、冤罪の脅威は大きくなっているそうだよ。
ブラックピット: 僕も満員電車だとあえて両手で吊革につかまったり、女性のそばに近寄らないようにしたりするぐらいですもん。
上司X: 「危うきには近づかず」ってところか。まあ俺も似たようなもんだよ。ホントは満員電車に乗らずに済めばいいんだろうけどな。
ブラックピット: 僕は、そこまでは望みませんよ。今みたいに適度に仕事ができて、おまんまがいただけるなら満員電車なんて何のそのです。
上司X: 適度に、ね。それにしても、今回紹介したシステムはよさそうじゃないか。キミみたいに他人とのコミュニケーションに難のあるような人でも痴漢冤罪の現場でどうにかできる可能性は高い。
ブラックピット: 僕はそこまでコミュ障じゃないですよ。自分で自分の身の潔白ぐらい証明できま……、やっぱり自信がないです。ITにべったり頼って自分を守りたいです。
上司X: そういうことだよ。いくら弁の立つ人でも、ピンチになったらどうなるか分からない。そのときに「楯」になってくれる技術があれば、実に頼りになるものだ。痴漢冤罪に対する自己防衛の手段として注目しておくべきだろうな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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