一般的にユーザーが多くて最低数年間の運用が見込めればオンプレミス、ユーザーが少なくて短期間で利用終了する可能性があればクラウドというのが定石だ。業務アプリ開発プラットフォームに関心を持たれるのは小規模での運用か、部門内のチームでの運用を考える場合が多いだろう。となればクラウドサービスの方が有利と一応は考えられる。
ただし使い始めて効果が出てくると、徐々に他チーム、他部門へと波及していくことが考えられ、ゆくゆくは大規模な運用になることもあるだろう。その場合は、オンプレミス用パッケージとクラウドサービスの両方を提供しているツールを選択し、適切なタイミングで切り替えられるようにすれば合理的だ。
ユーザーIDとパスワードで運用し、アプリへのアクセス権限をユーザー個別に設定してアクセス制御、アクセス管理をするのが標準的な方法だ。またよりきめ細かく、レコードごとやフィールドごとにユーザー個別のアクセス権限を設定できるツールもある。
これに加えてWebブラウザ個別にクライアント証明書(独自)を配布して、よりセキュアな運用ができるようにしているツール(kintoneのオプションサービス)もある。なお、ディレクトリサービス(ADなど)との連携や、シングルサインオンシステムの提供も推奨できる。このような部分には情シスの協力や関与が必要だ。
以上、業務アプリ開発プラットフォームのイメージと、導入検討の注目ポイントを解説してきた。本記事では「脱Excel」のニーズに対するツールの活用方法を中心に記したが、Notesからの移行ケースやニーズも多いようだ。Notesユーザーはアプリを自前で作ることに慣れているため、その移行先としてもこの種ツールは注目されているわけだ。
ただし自前で簡単に移行できるとは限らず、そこには外部からのサポートが必要な場合が多い。業務アプリ開発プラットフォームを対象に既存システムの移行や新規開発を手掛けるSIサービスやサポートサービスも登場しているので、相談してみるとよいだろう。
なお、この分野で先行したサイボウズによると、ユーザー事例としてアプリによる業務効率化で業務時間を120時間削減した会社、顧客台帳、受注管理、販売管理、見積書作成などの業務を中心に計13個のアプリを活用したところ売上が1.5倍に拡大し、かつ働き方改革に成功し休暇がとりやすくなった会社など、大きな効果を上げた事例が出てきている。
また、あるメーカーでは数年がかりで100個ほどのアプリを開発、変更を数カ月のうちに250回以上も行っているという。それだけ改善スピードが速くできるということだ。同社は「アプリは開発ができてゴールではない。運用と改善・改修を続けていくべきもの」と話す。ビジネスは日々変化するもの。アプリも同様に変化していかなければならない。変化への対応策としても、業務アプリ開発プラットフォームはこれからますます注目されるツールになるだろう。
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