東京・六本木アカデミーヒルズで開催された大型カンファレンス「THE AI 2018」では「RPAはAIの夢を見るか」と題した講演が行われた。ブレインパッドの若尾和広氏はその講演で「AIの応用には『身体性』が必要」だと指摘した。その意味するところは何だろうか。
「AIに対して人が抱くイメージはバラバラ」だと若尾氏は言う。一般の人の抱くイメージは例えばかつてのSF映画に出てきた巨大コンピュータのような人を超越した神様的な何か、あるいはスマートスピーカーのような便利機器、または家族やペットのような仲間というように、人によってまったく異なる。AIの定義は研究者間でも表現が異なっているようだ。
そこで同氏は1947年に人工知能の概念を初めて提唱したアラン・チューリングの言葉を引用した。
「この万能機械(コンピュータのこと)の性質からすれば、機械による処理も、人間的な処理も元は同じものであるという事実を受け止めることができれば、万能機械はそれに適当な命令を与えれば、どんな人間的な仕事もこなすようにすることができます」
この言葉を若尾氏は「つまるところAIは人間が機械に仕事をさせるためにつくった命令の手続き、あるいは命令の実行する体系」だと解釈する。「同じインプットに対してアウトプットが人間と同じなら、その背後にある技術や仕組みは何であれ、知能があると考えてよいのではないか」というのが若尾氏の考えだ。
その知能を形づくるのは「認識する」「記憶する」「学習する」「判断する」の4機能であり、それぞれの機能は相互に関係している。
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