フリーコメントを見てみると「必要性は感じるが導入する予定がない」とした回答者からは、「いろいろと探しているが、要件に合うパッケージがなく、カスタマイズする利点も見いだせない」「上層部の理解が得られないため、既存の仕組みを塩漬けにしている」といった苦悩の声が寄せられた。
一方で、「必要性を感じない」とした回答者の意見を見ると、「統合ERPパッケージは高価な印象があり、手を出せない」「どこから手を付けていいのか分からない」と、導入ハードルが高いというイメージが先行していると思われるコメントが寄せられた。また、「財務経理のことは分からない」とする声もあり、基幹系システム=会計や経理システムといったイメージを持っている方々も少なからずいることが分かった。
ERPの基となったそもそものMRPやMRP IIは、企業(特に製造業の)運営全体をカバーするものであり、決して財務会計のみに閉じたものではないのだが、日本では特に財務会計ソフトウェアとしての認識が根強く残っているようだ。
過去の、高価なハードウェアとライセンスが必要だった、大企業向けパッケージ製品のイメージが強く残っているようだが、現在はSaaS型で月額課金型の業務システムも多い。特にスクラッチ開発やExcel管理が横行する中小企業をねらい撃ちするかのような低価格サービスも多数登場しているが、「必要性を感じない」とした回答者にはこうした情報が届いていない状況があるようだ。
前編である本稿では導入状況や満足度、導入しない理由を見てきた。後編では、リプレースや導入移行を深掘りしていく。
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