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ロボット拡大期を“女性”が担う――「RPA 女子プロジェクト」が始動

» 2018年05月09日 10時00分 公開
[相馬大輔RPA BANK]

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RPA BANK

ホワイトカラー労働者の定型業務をソフトウエアで代替するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の普及で専門人材が不足する中、RPAの教育を通じて女性のキャリア再開を支援する「RPA 女子プロジェクト」がこのほど始動。関連企業4社による発表会が5月7日に都内で開かれた。

同プロジェクトは、RPAツールを提供するRPAテクノロジーズ株式会社(東京都港区)、教育コンテンツ開発などを行う株式会社MAIA(同)、人材サービス・キャリア支援事業を行う株式会社Waris(同)、オンライン研修のプラットフォームを提供する株式会社ブイキュープ(東京都目黒区)で構成されている。高い実務能力を持ちながら出産・育児のため職を離れていた女性を主な対象に、RPAスキルの教育プログラムをオンラインで提供する。

RPAテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 大角 暢之氏

すでに10名の女性が教育課程を修了。遠隔や時短勤務で活躍の場を広げる

育成された人材は、RPAを導入している企業向けの開発や運用業務を担うほか、これらのスキルを導入先の従業員にも伝授。現場の業務知識が欠かせないRPAの開発運用を、導入企業が自社で完結できる体制づくりを支援していく。

プロジェクトの本格始動に先立って、すでに10人の女性がオンライン教育の課程を修了。実働に入ってもネットを介したリモートワークの活用で、出社困難な遠隔地での勤務や、子育て・介護などと並行した時短勤務を積極的に認める方針で、意欲ある働き手への門戸を広げた。

このうち、夫の勤務先であるシンガポールに在住する竹内愛子さんは、現地からのネット中継で発表会に参加。海外での育児と両立できる働き方を模索する中で、リモートワークも可能なRPA開発に興味を持ったといい「シンガポールでもRPAのスペシャリストが注目されている。オンラインの学習環境は日本にいるのと変わらない感覚でなじみやすく、時間を忘れて取り組むことができた」と話した。

株式会社MAIA 代表 月田 有香氏

また、発表会場に同席したシステムエンジニアの関本結希奈さんは、育児との両立を目的にフリーランスへ転向した経歴の持ち主。RPAに対する印象を「(開発ツールがプログラミングに比べて)直感的で分かりやすく、実装しやすい。完成したものが業務にすぐ生かせるのも魅力」と述べ、さらなる開発に意欲をみせていた。

発表の席上でMAIAの月田有香社長は「RPAが目的とする業務効率化のアイデアを最も豊富に持っているのは、現場での業務経験を持つ女性。IT初心者からの学習やOJTをサポートすることで、RPAの活用範囲を広げていきたい」とプロジェクトの狙いを説明。

Warisの米倉史夏 代表取締役は、キャリア再開を検討する女性とRPAの関係について「実装・コーディネート・後進の指導といったキャリアアップの道が開けている上『育児からの段階的な復職』『完全在宅勤務』といったニーズにも応えることができる。女性側のメリットが大きいぶん、優秀な人材を迎えられる可能性が高い」と述べた。

株式会社Waris  代表取締役 米倉 史夏氏

また、インドネシア・ジャカルタから中継で発表に加わったブイキューブの間下直晃社長は「オンライン教育とテレワークの推進によって、東京のオフィスで行われていた仕事を地方に分散できる」とコメント。RPAを通じた女性のUターン・Iターン促進と、地方創生への貢献にも期待を示した。

RPAの定着に女性の力が大いに発揮される場がある

RPAの導入支援で国内トップクラスの実績を持つRPAテクノロジーズの大角暢之社長は、4社合同で発足させたプロジェクトについて「今後、全国あらゆる規模の企業にRPAを定着させ、活用を高度化していく上では、新たな担い手を確保し、育成を支援していく一貫した仕組みが必要。これらをワンストップで提供するため、各要素を備えた企業同士の連合を選んだ」と解説。

「RPA女子」が担う業務のイメージについては「RPAのエキスパートが導入の初期段階を集中的に支援した後、なるべく早く次の現場へ移る必要があるため、運用の確立に向かう段階を安心して引き継げる人材が求められている。『週数回・リモートで確認』程度の業務量から活躍の場があり、この領域で潜在的な女性の力が大いに発揮されると思う」と話した。

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