スウェーデンは「世界一キャッシュレス化が進んだ国」と評価されるほど、日常生活から紙幣や硬貨が消えた。国民の3分の2が「キャッシュを使わなくても生活できる」と実感している。実際、2015年における同国内の支払い総額のうち現金が使われたのは2%だった。
店舗によっては「現金お断り」というところもある。決済手段はクレジットカードやデビットカード、電子マネーが一般的だ。もともとクレジットカード決済が広く普及し、ディーラーで自動車を買うときも、コンビニで飲み物を買うときもクレジットカードが使われていた。最近では、教会で献金するときも電子マネーでピッとやるという。
現金と歩調を合わせるように、ある“シゴト”も激減した。この現象は世界的に見ても非常に珍しいという。それは一体?
米国の老舗雑誌『The Atlantic』によれば、それは「銀行強盗」だ。スウェーデン国内で発生した銀行強盗の件数は、2008年の110件から2016年には2件にまで減った。たった8年間で、銀行強盗がほとんど発生しない国になったのだ。
同国では、2012年から複数の銀行が共同開発した「Swish(スウィッシュ)」という決済サービスが始まった。スマホアプリで決済すると自動的にユーザーの銀行口座からお金が引かれるというもので、2018年2月時点で、国民の6割がSwishを使っている。
日常生活で現金が使われないので、銀行の窓口やATMから現金を引き出す人もほとんどいない。つまり、銀行に大量の現金が保管されていないので、銀行を襲ったとしてもハイリスク・ローリターンというワケだ。
一方で、高額商品の強奪事件が増えてしまった。例えば、iPhoneを輸送中のトラックが襲われたり、高級ブランドを扱うブティックが狙われたりしている。しかし、これらは足が付きやすく、盗んだ後の換金が難しい。
そこで今、スウェーデンの犯罪者たちの中で人気が高いのは「フクロウ」だ。種類によっては1羽当たり100万クローナ(約1300万円)もの高値で取引されている。他にも希少な爬虫類や蘭などが狙われ、それらの所有者は戦々恐々としているそうだ。
また、暴行や詐欺といった犯罪も増加傾向にある。世界的な傾向でもあるが、同国内のサイバー詐欺は過去10年で倍増した。銀行強盗が減ったからといって犯罪自体が減ったわけではない。犯罪者の狙いどころが変わっただけで犯罪の芽が消えることは難しそうだ。
上司X: スウェーデンでキャッシュレス化が進むほど、銀行強盗が減ったという話だよ。もはや消えちゃったでもいい。
ブラックピット: スウェーデンは、キャッシュレス国家なんですね。日本のキャッシュレス決済は20%ぐらいでしたっけ? まだまだですね。ちなみに日本の銀行強盗はどうなんでしょう?
上司X: 日本も減少傾向だな。警視庁の統計によればピークは2001年の237件で、2015年には30件台まで減っている。
ブラックピット: ということは、キャッシュレス化と銀行強盗の減少ってあんまり関係ないってことになりませんか?
上司X: いやいや、日本の場合は防犯意識と強盗対策が向上したからだという専門家の分析がある。
ブラックピット: ふーん。ともかくスウェーデンではキャッシュレス化が銀行強盗を減らした、と。その代わりの犯罪が増えたというのはちょっと残念ですね。フクロウが気の毒です。
上司X: 確かにフクロウ狙いってのは意外過ぎるな。
ブラックピット: 狙いの方向性が斜め上過ぎて、対策が難しいでしょうね。フクロウや蘭をどう守ったらいいのか。
上司X: 日本もキャッシュレス化が進むだろうから、スウェーデンのように新たな犯罪が増える可能性はあるな。まあ、俺には思い付かないんだが……。
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