主なチャットbot開発ツールには次のようなものがある。
チャットbot開発ツールベンダーと契約すれば、提供される開発ツールとクラウド上の開発、運用環境を使ってチャットbotの作成から運用までワンストップで完結する。まずはクラウド上で試し、その後オンプレミスに移るのがよいのか、引き続きベンダーのクラウド上での構築、運用がよいのかを決めるという方法もある。
チャットbotはAIとの関連で語られることが多いが、その違いをどうやって理解すればよいのだろうか。この問題は「AIとは何か」という大きな問題にもつながるが、その前提は脇に置き、チャットbotはAI技術の一部を活用している、とhachidoriで執行役員を務める濱田拓馬氏は話す。
チャットbotにおける会話機能は、自然言語処理技術に基づいている。自然言語で書かれたユーザーのメッセージを単語に切り出した後、その内容が質問であるのか、あるいは意見であるのかを分類(クラシフィケーション)し、それに基づいて用意したシナリオの通りに応答を返す。応答が適切だったか否かを後で評価し、最も適切な応答ができるようにチューニングを行う過程では、ツールによってAI技術の1つである機械学習が用いられる。質問の意図が正しく捉えられたか、それに対する応答は適切だったかをスコアリングし、フィードバックして精度を高める仕組みだ。
ただし現状ではメッセージの意図や文脈理解についてまだ十分に機能しているとはいえず、完全な自動対話の実現には超えるべき壁がいくつもあるようだ。例えば、一般の悪意あるユーザーによって差別表現を学んでしまったマイクロソフトの「Tay」の例からも学ぶべきものは多い。未来はともあれ、現在はAI技術を活用しながら応答ルール(シナリオ)の品質をいかに上げていくかという点が、チャットbot開発の重要なポイントである。ツールの導入実績がすでに5000社超にのぼるhachidoriは、質問や応答の精度を高めていくためには、実績に基づいたデータの蓄積と分析が肝心だと話す。導入実績の多いチャットbot開発ツールのベンダーには他社に比べて一日の長がありそうだ。
また、会話機能とは別に外部の画像認識や音声認識、音声合成などの技術を提供するサービスと連携することで、チャットbotの機能をアドオン的に追加できる。AOSモバイルで博士(工学)を務める米川孝弘氏は、「チャットbotは今後も、AIをはじめとした最新のテクノロジーと一体化し、情報活用のためのインタフェースとして活用される」と予測している。
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