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自動化ロボットは減税対象? 2018年、激動のRPA事情

RPAツール「WinActor」の販売を手掛けるTDCソフトの佐野弘幸氏が、RPAを取り巻く最新事情とともに、導入に成功した企業はどのようなポイントを押さえているのかを解説した。

» 2018年07月10日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

 2017年は一部のメガバンクや大企業での導入が中心であったRPAも、2018年には規模や業種を問わず、あらゆる企業が着手するトピックとなった。「自動化するロボット」が減税対象となるなど、RPAを取り巻く状況が日々変化し、多くの情報に混乱する企業もあるだろう。

TDCソフト イノベーション営業部 エグゼクティブマネージャー 佐野弘幸氏 TDCソフト イノベーション営業部 エグゼクティブマネージャー 佐野弘幸氏

 RPAツール「WinActor」の販売を手掛けるTDCソフトのノベーション営業部 エグゼクティブマネージャー・佐野弘幸氏は、RPAを取り巻く最新事情とともに、「導入に成功した企業はどのようなポイントを押さえているのか」解説した。また、ツール選定に悩む企業に向けて、RPA12製品の特長や価格を表で紹介。同社の知見の一部を共有している。

 本稿は、2018年6月15日、TDCソフトが主催した「第2回RPAカンファレンス」における講演「働き方改革とRPA活用法、事例 RPA各種製品の特長と最適なRPA選定」の内容を要約したものだ。

RPA、導入成功企業は何が違う?

 TDCソフトは、NTTデータが提供する「WinActor」の販売および導入支援を通じて企業のバックオフィス業務の効率化、自動化の支援を行う。同社内でも既にRPAを導入しており、複数の書類を用意して申請する必要のある「代理申請業務」の効率化を実現したという。佐野氏は、RPAの導入パターンと導入を成功させている企業の特長を説明した。

 RPAの導入経緯は「経営層からのトップダウン対応」と「現場からのボトムアップ対応」の2つのパターンが存在し、比較的トップダウンで導入を進める前者のケースが多いという。

 RPA導入を成功させている企業の特長としては、「業務部門とIT部門がタッグを組んでいる」「運用ルールや体制が考えぬかれている」「最適なツールが選択されている」「CoE(Center of Excellence)などRPA運用の専門部隊が設置されている」ことを挙げた。

 自社での導入を踏まえ、ロボット化を依頼する部門とRPAシステムを実装する部門がお互いに認識をすりあわせてから、シナリオ設計、実装、テストといった段階を経て、実装に向けてシステムの開発を進めることの重要性も強調する。

RPA導入の契機 図1 RPA導入の契機

表で分かる、RPAツール12選

 こうしたポイントをクリアすることは簡単ではない。例えば「最適なツールが選択されている」という点については課題も多いと佐野氏は話す。

 「多数のRPA製品が存在し、今も増えています。ユーザーは“何を選べばいいのか分からない”という状況ではないでしょうか」(佐野氏)

 佐野氏は、製品選びの際にはそれぞれの特長を見極める必要があると話し、RPAのツールを12製品提示。Winactor、BizRobo/BasicRobo、UiPath、BluePrism、Automation Anywhere、Nice、PegaRPA、Verint RPA、Autoブラウザ名人、ipaS、NEC Software Robot Solution、RPA Express(WorkFusion)といった定番ツールのメーカーやルーツ及び特徴、情報提供時期、ツールの価格などを図で示した(図2、図3)。

RPA主要12製品 図2 RPA主要12製品
2018年税制改革 図4 2018年税制改革

ロボットは減税対象?

 佐野氏は講演の中で「日本における人口減少は将来的にも継続するでしょう」と課題を投げかけ、働き方改革とRPAの概観を改めて整理した。

 同氏は、政府の施策として「一億総活躍社会の実現」と「成長と分配の好循環の実現」という動きがあることを挙げ、「人口が減少している日本で、就業者の減少を補ってGDP成長を維持するには生産性の向上が不可欠となるでしょう」と指摘。生産性が世界に比較して低いという日本のホワイトカラーの課題に触れた。

 同氏は、この課題の打開策として「働き方改革というテーマにチャレンジしていない企業はほぼないと思います。働き方改革の問題を解決する手段はITのなかに多数存在します。その1つがRPAです」と改めてRPAの意義を説明する。

 「RPAはここ数年で話題になっているキーワードではあるものの、市場調査では混乱が見られます。ホワイトカラー業務の効率化と自動化に取り組むシステムこそがRPAです」(佐野氏)

 企業にとって、RPAを利用しやすい環境も整いつつあるという。佐野氏は、2018年度の税制改正の中に「IoT投資減税」が盛り込まれていることを指摘。「IoT投資減税」は法人税を控除することでIoTへの投資促進を狙うものだが「減税の対象として“自動化するロボット”という項目があります」と注目すべきポイントを挙げた。

2018年税制改革 図4 2018年税制改革

 TDCソフトは、今後もRPA製品と併せて、同社の持つ知見によりユーザー目線で有益な情報を提供するという。

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