ネットワーク機器に関す2017年実績や予測について見てきたが、最後にこれからネットワーク機器を導入する際にはどんな視点を持っておくべきなのだろうか。そのキーワードとなるのが「無線」と「クラウド」だろう。
無線については、ネットワークへのアクセスに無線LANを利用することが特別なことではなくなり、既にノートPCにはイーサネットで利用するRJ45インタフェースがないものも増えていることはよくご存じの通りだろう。無線LANでのアクセスが必須となるデバイスも少なくないことからも、ユーザーのラストワンマイルとして利用する機会が増える無線LANを意識したネットワークづくりを心掛けたい。既にIEEE802.11acでは理論値で1Gbpsを超える通信速度が無線の領域で行われており、有線をボトルネックにしないためにもある程度の帯域を意識する必要がある。
またクラウドの視点では、SaaS利用時にはインターネットを経由することが多いため、外部に出るところの帯域がボトルネックとなったり、必要なセッションテーブルが確保できずに通信できなくなったりなど、これまでにはない課題も出てくる。だからこそ、クラウドを意識したネットワーク設計がこれまで以上に求められてくることになる。
各拠点のトラフィックを本社に集約したうえでインターネットに抜けるような環境から、SaaSの通信のみ拠点からインターネットに直接流すような構成に変更するといったことも、クラウドを快適に利用するためには検討する場面も出てくるはずだ。今はOffice 365やBOXといったエンタープライズ向けのSaaSが多くの企業で利用されていることからも、それぞれ利用するSaaSの特徴をきちんとつかんだうえで、ネットワーク設計に反映させていきたいところだ。
2017年は、成熟市場だったネットワーク機器が大きな成長率を達成した“特異年”だった。今後は緩やかな右肩下がりの市場へとなっていくことが予測されるが、無線LANをはじめ、ここ数年は成長を続けていくことが見込まれる領域も残っている。これからもネットワーク機器市場に注目してほしい。
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