もちろん成熟市場といっても、ここ数年は成長を続けていくと予測する領域が幾つか存在している。それが、無線LANのAPをはじめとした無線LAN関連製品、そしてデータセンターに設置されるイーサネットスイッチの領域だ。
無線LANについては、最大6.9Gbpsまでの高速化が理論上可能なIEEE 802.11acの中でも、最大伝送速度が2Gbbpsを超える802.11ac Wave2のチップセットを搭載したモデルが登場している状況にある。市場を見ると、IEEE802.11nに対応したAPが多く稼働しており、このAPを切り替えるタイミングがちょうどやってきたことで、2017年も無線LAN自体は堅調な伸びを示している。
使い方の面でも、現場での無線適用エリアを会議室から執務エリアにまで拡大する企業も増えており、ネットワークへのアクセス手段として無線を選択するというマインドが企業の中に醸成されているのは間違いない。
さらに、昨今大きな潮流となっている働き方改革に向けたオフィス環境の整備の中で、フリーアドレスなど働きやすい環境づくりに欠かせないインフラとして無線を検討する企業も増えている。ネットワークインフラとしての予算よりも、働き方改革に向けた環境整備の名目で予算化されるケースも出てきている。
企業の業務システムがクラウド環境に移行していく中で、データセンターの需要は高まっている。特にクラウド環境の整備については、企業が自前で展開するプライベートクラウド環境であっても、事業者が提供するパブリッククラウド環境であっても、データセンター内での基盤整備が必要になってくる。
結果として、データセンター内でのイーサネットスイッチ需要が高まることで、ネットワーク機器市場を大きく押し上げている1つの要因になっているわけだ。ただし、スイッチそのものの単価はスイッチベンダー同士の競争の中で下落傾向にあるものの、2017年はGB単価の下落を補うだけの台数が出荷されたというのが現実だろう。
また、今後はホワイトボックススイッチ(ベアメタルスイッチ)などがスイッチ本体の価格を大きく下落させる可能性を秘めているが、現状の日本では広く普及しているとは言い難く、海外のクラウド事業者や日本の先進的な企業の一部に利用されているのが現実だ。企業のIT部門が自身の手でスイッチOSやアプリケーションを選択して運用していくかどうかは不明瞭なため、日本に普及するかどうかは未知数だが、たくさんの台数が必要な事業者側ではどこかのタイミングで採用が進んでいくことも予想される。
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