キーマンズネット会員295人を対象にアンケート調査を実施した。社内コミュニケーションツールの導入目的、効果や不満が明らかになった。
キーマンズネットは2018年6月26日〜7月27日にわたり、「社内コミュニケーションツールの利用状況に関する調査」を実施した。社内コミュニケーションツールの「利用目的」や「導入効果」、企業における「情報共有の問題点」など、社内コミュニケーションツールの利用状況や情報共有の課題を把握するための質問を展開した。
ツールの導入効果として「コミュニケーションの活性化」「業務効率化」「コストの軽減」などが挙げられる一方で「使いにくい」「利用者や利用頻度に差がある」「機能が制限されている」などに不満を感じていることも明らかになった。
前編では社内コミュニケーションツールが大企業を中心に全体の53.3%で利用されていることなどに触れたが、後編ではそもそもツールの利用目的とは何か、またその目的に照らし合わせて導入効果をどう評価しているのかなどを紹介する。
はじめに社内コミュニケーションツールの利用目的について尋ねてみた。その結果「業務連絡」71.8%、「社内コミュニケーションの活性化」68.2%、「リアルタイムコミュニケーションによる会議の削減」39.5%、「ナレッジの共有」39.0%、「ビデオ通話、音声通話」35.9%と続いた(図1)。
前編でツールの利用内訳を調査した際、社内SNSよりもビジネスチャットツールやその両方を利用している割合が高かった旨を紹介したが、このことからも社内コミュニケーションツールは電話やメール、会議といった従来型のコミュニケーションの代替として期待されていると予測できる。
一方で「ナレッジの共有」や「プロジェクトの進捗管理」など情報をストックしながら共有をしていくコミュニケーションについてはビジネスチャットツールより社内SNSなどが適していると言えそうで、自社におけるコミュニケーションの課題とは何か、ツールで何を実現したいか、によって最適なツールを選ぶことが重要になってくるだろう。
それでは現在利用している社内コミュニケーションツールについて、主に導入や運用に関わった方はどのような効果があったと考えているのか。導入効果や感想を尋ねた。
まず導入効果として挙げられた声をまとめると、大きく「コミュニケーションの活性化」「業務の効率化」「コストの軽減」の3点に分類された。
まずコミュニケーションの活性化については、コミュニケーションサイクルが早まった、関連会社とも容易にコミュニケーションが取れるようになった点などが挙げられた。業務効率化については、緊急連絡時の早期対応や在宅勤務でも連絡が取りやすくなった点が挙げられ、コストの軽減については、出張コストや社内の内線電話の削減についての声が挙がった。今後、働き方改革により在宅勤務やテレワークが進む中で、チャットツールなどは作業効率を向上させるための有効なツールになると考えられる。
コミュニケーションの活性化に関する導入効果
業務効率化に関する導入効果
コストの軽減に関する導入効果
反対に「不満の声」も寄せられた。こちらも「ツールが使いにくい」「利用率が低い、利用頻度に差がある」「機能が制限されている」の大きく3つに分類される。この不満の中には、なかなか利用が浸透せず社内コミュニケーションツール本来の目的が果たせていないことへの声も少なくなかった。
使いにくさに関する不満
利用率が低い、利用頻度に関する不満
機能、機能制限に関する不満
ここまで社内コミュニケーションの利用目的と実際の導入効果について紹介してきたが、そもそも社内の情報共有について問題や課題を抱える企業はどのくらい存在するのだろうか。立ち返って「貴社において情報共有の問題点や課題点はあるかどうか」を尋ねたところ「ある」51.5%、「ない」48.5%とほぼ同じ結果となった(図2)。
そこで情報共有の問題点や課題点が「ある」と回答した方を対象に、その問題点についてフリーコメントで回答してもらったところ、大きく2つの問題が浮き彫りになった。
1つ目は「情報を発信する文化がないため、SNSなどのツールを導入しても効果が期待できない」「情報共有の仕組みがない、人に依存したアナログな伝達文化が残っている」「上層部が情報共有やツールに関して無知である」といった声から予測されるに情報共有に対する“意識の低さ”だ。
2つ目は「プロジェクトごとに情報共有ツールがあり、ツールが統一されていない」「情報共有ツールが乱立しており、それぞれで異なるIDやPasswordの管理を行っているため管理が煩雑。また、それにより情報が分散していることも課題」などの声から推察される情報共有のための“社内環境の整備”の問題である。
日々従業員が業務で獲得、収集する情報や知識は言うまでもなく企業資産であり、それらの情報を最大限に活用し戦略的に生かすことが求められる。またそのような意識を持っていても情報を蓄積、整理し、必要なときに取り出して活用するための社内環境が整備されていなければ実現は程遠い。そういった意味でも企業は社内コミュニケーションツールの利用や、その運用を通して資産たる“情報”の有効活用を検討していくことが重要であると言えよう。
全回答者数295人のうち情報システム部門が45.1%、製造・生産部門が12.5%、営業・販売・営業企画部門が10.9%、経営者・経営企画部門が4.8%などと続く内訳だった。 なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合がある。
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