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本気のマイクロソフトが実践した“いいことずくめ”の業務改善イベントレポートアーカイブ(1/4 ページ)

日本マイクロソフトは、2011年の震災をきっかけに自社の働き方がいかに非効率であったかを見つめ直した。徹底的な業務改善を実施したところ大きな成果につながったわけだが、何を実践したのか。

» 2018年09月13日 10時00分 公開
[岡垣智之キーマンズネット]

 かつては月に100時間を超える残業も当たり前だった日本マイクロソフトは、2011年の東日本大震災をきっかけに自社の働き方を大きく変えた。

 震災当時は、交通機関も止まり通勤することさえ困難な状況であったが、その状況下でも事業を継続することを選び、社員は1週間にわたりテレワークを実施した。会議もオンラインで行うなどして自宅での勤務を実施したところ、テレワークでも会社と同様に業務が可能だと手応えを感じたという。この認識を社会全体で共有することが重要だと考え、今では、年に1度、働き方改革に賛同する法人と連携したテレワーク週間を実施している。

 このように震災を機に全社的に働き方を見直し改善するようになったことで、社員1人当たりの売り上げを26%、仕事のやりがいを7%向上させることができ、また、会議の実施形態を変えることで、4カ月で約3500時間の削減に成功した。この成果を出すために何をどう変えたのだろうか。本稿では日本マイクロソフトが全社一丸となって実行した働き方改革について説明したい。

長時間労働をよしとする考え方はもう古い

 日本マイクロソフト パートナー事業部 エバンジェリストの田中達彦氏は、自社の働き方改革について語る前に、まず、なぜ働き方改革が求められているのかを説明した。

 今の日本の働き方に対する基本的な考え方は、労働基準法など労働三法が制定された昭和21年から23年の3年間で決まった。その頃は、日本の総人口と生産年齢人口は右肩上がりで増加していったが、1990年代後半を境に少子高齢化などを理由に急速に減少している(図1)。2030年時点では、ピーク時に対して約1300万人の生産年齢人口が減少すると予測される。先進7カ国中で日本の労働生産性は19年連続で最下位である。

 それに対する打ち手として、時間に対して対価を支払う「Pay for time」という考え方からパフォーマンスに対して対価を支払う「Pay for performance」にシフトし、1人当たりの生産性を高める必要がある。例えば、社員2人に同じタスクを与えたときに、Aさんは1日で成果を出したのに対して、Bさんは3日かかったとする。Aさんは短期間で効率的よく成果を出せたため、その分得られる対価も高い。このように、労働人口が減少する現在では、従来の働き方や考え方を変え、生産性を高める仕組みが重要である。

図1 生産人口が増加する「人口ボーナス期」と減少する「人口オーナス期」に分かれる 図1 生産人口が増加する「人口ボーナス期」と減少する「人口オーナス期」に分かれる
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