メディア

ID管理システムの導入状況(2018年)/後編IT担当者300人に聞きました(2/2 ページ)

» 2018年10月11日 10時00分 公開
[キーマンズネット]
前のページへ 1|2       

ID管理システムとの連携……社内システムなら勤怠管理、外部サービスでは!?

 次にID管理システムを「導入済み」「導入予定」と回答した人に対し、ID管理システムと連携するシステムおよびサービスについて聞いた。

 その結果、社内システムでは「勤怠管理システム」73.7%、「基幹システム」67.4%、「グループウェア」63.2%、「社内ポータルサイト」63.2%、「経費精算システム」60.0%と続いた。外部サービスでは「Office 365」の割合が36.8%と突出して高かく、次いで「Salesforce」14.7%、「G Suite」と「Box」が6.3%と並んだ(図2)。

 全体の6〜7割が連携していると回答した項目は主に社内システムで、その中でも「勤怠管理システム」や「基幹システム」など日常的に利用するシステムに票が集まった。最近のID管理システムの中には、外部サービスとの連携を強化しているサービスもあるが、この結果から見ると、まだ社内環境に閉じた利用が多いようだ。Windowsを利用する企業の中には、WindowsアカウントのIDとパスワードを用いて社内システムやOffice 365などのクラウドサービスを活用する企業もあるだろう。

ID管理システムと連携しているシステムおよびサービス 図2 ID管理システムと連携しているシステムおよびサービス

ID管理の課題、「導入済み企業」「未導入企業」の見解は?

 ここまでID管理システムを「導入済み」「導入予定」の企業に対して詳細を調査してきたが、最後に全体に対して、自社のID情報の管理や運用方法に課題があるかどうかを聞いた。その結果「ある」が35.3%、「ない」が64.7%と全体の3分の1以上がID管理に対して何かしらの問題を抱えていることが分かった。そこで、課題や問題点を深堀りするために、フリーコメントで詳細を聞いた。

「導入済み企業」「未導入企業」が抱くID管理にまつわる問題点

  • シングルサインオンに未対応のアプリケーションが多く、ID、パスワードの入力が利用都度要求され、効率が悪い(導入済み/オンプレミスで運用)
  • シングルサインオンできてないシステムがある(導入済み/オンプレミスで運用)
  • 毎年、複数のパスワードで利用期限が到来し、アクセスできない事例が発生している(未導入/オンプレミスでの運用を検討)
  • IDの再発行に関する問い合わせ対応で、IT部門は苦労している(未導入/IaaSでの運用を検討)
  • 派遣社員など正社員以外のパートナーのID管理に対する考え方が統一できていない(未導入/オンプレミスでの運用を検討)
  • ID管理は個人任せだが、会社が求めるセキュリティ要件が厳しくなっている点(未導入/導入予定なし)
  • パスワード忘れの際の問い合わせ対応に苦慮する(未導入/導入予定なし)
  • パスワードを忘れたと連絡が入るが、どのIDのパスワードなのか聞きだすのに苦労する(未導入/導入予定なし)

 ID管理システムを導入済みの企業では、シングルサインオンを実現できてはいるものの、シングルサインオンに未対応のシステムやアプリケーションが存在するなど、シングルサインオンの統一化ができていない点が課題に挙げられた。

 対して未導入の企業は、ID/パスワード忘れによる従業員からの問い合わせで、システム部門やヘルプデスクの対応工数が増加している点が課題として挙げられた。このような企業において当然ID管理システムの活用が効果的ではあるものの、前編で触れた通りIT投資における優先順位がそこまで上げられない項目と認識されているせいか、導入の予定はないとの回答であった。中には、ID管理は従業員任せだが、求めるセキュリティ要件は厳しいという矛盾を感じる声も挙がった。また、派遣社員など雇用形態の違いによってIDをどう管理するかといった管理ポリシーを問題視する意見もあった。

 従業員の利便性向上のためにID管理システムを導入しても、システム導入後の運用や定期的なメンテナンスによって導入時の目的を形骸化させないことが重要であることがこの結果から見て取れた。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。