次にID管理システムを「導入済み」「導入予定」と回答した人に対し、ID管理システムと連携するシステムおよびサービスについて聞いた。
その結果、社内システムでは「勤怠管理システム」73.7%、「基幹システム」67.4%、「グループウェア」63.2%、「社内ポータルサイト」63.2%、「経費精算システム」60.0%と続いた。外部サービスでは「Office 365」の割合が36.8%と突出して高かく、次いで「Salesforce」14.7%、「G Suite」と「Box」が6.3%と並んだ(図2)。
全体の6〜7割が連携していると回答した項目は主に社内システムで、その中でも「勤怠管理システム」や「基幹システム」など日常的に利用するシステムに票が集まった。最近のID管理システムの中には、外部サービスとの連携を強化しているサービスもあるが、この結果から見ると、まだ社内環境に閉じた利用が多いようだ。Windowsを利用する企業の中には、WindowsアカウントのIDとパスワードを用いて社内システムやOffice 365などのクラウドサービスを活用する企業もあるだろう。
ここまでID管理システムを「導入済み」「導入予定」の企業に対して詳細を調査してきたが、最後に全体に対して、自社のID情報の管理や運用方法に課題があるかどうかを聞いた。その結果「ある」が35.3%、「ない」が64.7%と全体の3分の1以上がID管理に対して何かしらの問題を抱えていることが分かった。そこで、課題や問題点を深堀りするために、フリーコメントで詳細を聞いた。
「導入済み企業」「未導入企業」が抱くID管理にまつわる問題点
ID管理システムを導入済みの企業では、シングルサインオンを実現できてはいるものの、シングルサインオンに未対応のシステムやアプリケーションが存在するなど、シングルサインオンの統一化ができていない点が課題に挙げられた。
対して未導入の企業は、ID/パスワード忘れによる従業員からの問い合わせで、システム部門やヘルプデスクの対応工数が増加している点が課題として挙げられた。このような企業において当然ID管理システムの活用が効果的ではあるものの、前編で触れた通りIT投資における優先順位がそこまで上げられない項目と認識されているせいか、導入の予定はないとの回答であった。中には、ID管理は従業員任せだが、求めるセキュリティ要件は厳しいという矛盾を感じる声も挙がった。また、派遣社員など雇用形態の違いによってIDをどう管理するかといった管理ポリシーを問題視する意見もあった。
従業員の利便性向上のためにID管理システムを導入しても、システム導入後の運用や定期的なメンテナンスによって導入時の目的を形骸化させないことが重要であることがこの結果から見て取れた。
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