スマホメーカーがマーケティング活動の一環として有名ブランドや人気キャラクターなどとコラボレーションすることは決して珍しいことではない。限定スマホは魅力的で購入者を増やす起爆剤となる。それが偽ブランドでも?
2018年12月10日、サムスンは新型スマホ「Galaxy A8s」を世界に先駆けて中国で発表した。対角6.4インチの大型液晶を搭載するGalaxy A8sは、フロントカメラ用の穴がディスプレイ上にあることが大きな特徴だ。今後「穴あきデザイン」に追従するスマホメーカーが増えるかもしれない。
さらに驚きがあった。若者を中心に大人気のファッションブランド「Supreme(シュプリーム)」とのコラボモデルが発表されたのだ。ところがコラボ先が「ニセモノ」だという。どうして偽ブランドとのコラボがあり得るのか?
Supremeは、スケートボードやヒップホップ文化に影響を受けたとされる米ニューヨーク発祥のブランドだ。赤地にFuturaフォントでブランド名を白抜きしたロゴマークを大胆にあしらうデザインが特徴的で多くの若者に強烈過ぎるほど支持されている。
また、さまざまな他ブランドとコラボすることでも知られる。中国で開催された発表会では「SupremeのCEO」というアジア系の男性2人が登壇した。Supremeは今回のコラボをきっかけとして2019年に北京に直営店をオープンし、上海のメルセデスベンツアリーナでランウェイショーを開催する予定だという。
「おおっ」と会場が喝采に包まれる中で、ネット中継を見ていたネットメディア『The VERGE』の担当者が「あれ、ちょっとおかしいぞ」と気付いた。
Supremeは、正式には「Supreme NYC」という会社が運営する。一方でサムスン中国のマーケティングマネジャーを務めるレオ・ラウ氏は、ブログでコラボ先が「Supreme Italia」だと明示する。
Supreme Italiaは、イタリアのバルレッタという都市で誕生した全く別のブランドだ。本家Supremeとは一切関係ないにもかかわらず、本家と同様のデザインのTシャツやトレーナーなどを勝手に販売している。
「そんなのダメじゃん!」。Supreme NYCはイタリアで訴訟を起こしたのだが、本家Supremeがロゴデザインについて正式な権利を保有していないことが争点となり、Supreme Italiaは「おとがめなし」という判決が出てしまった。
Supreme Italiaは、少なくともイタリアでは「合法ブランド」として本家そっくりのSupremeロゴを使って活動している。「グレーな合法フェイクブランド」とでもいうべきか。
ラウ氏によれば、本家のSupreme NYCは中国において製品の販売とマーケティングが許可されていない。一方でSupreme Italiaは、日本以外のアジア太平洋地域での販売とマーケティングが許可されたという。だから「正式なコラボ契約」を結んだのだ。
Supreme NYCは、このコラボについて「まったく無関係だ」という公式見解を発表した。北京の直営店やランウェイショーも「偽ブランドが言いふらす、ずうずうしいウソ」と一刀両断だ。
中国における模倣やパクリに対して、今さらとやかくいっても仕方がないのかもしれないが、同じく世界的なブランドの1つになったサムスンは、グレーな状況をどうするのだろうか。
上司X: 「サムスンが中国でSupremeとコラボ!」という話だよ。
ブラックピット: コラボって……。偽ブランドじゃないですか
上司X: いやあ、一言では「ニセモノ」と言い切れないのが今回の話のミソでね。
ブラックピット: 少なくとも日本には入ってこられないSupremeですよ。
上司X: でも中国では「ホンモノ」なのさ。ところでキミは、このブランドについて知っていたかね?
ブラックピット: もちろんですよ。なにやら日本のショップで買い物をするためには「ドレスコード」があるらしいですよ。Supremeを購入するのにふさわしい格好をしていないと入店できない。少なくともSupremeの服を身に着けていないとお断りされるとか……。
上司X: まさかそんなことが……あるのか? それじゃ「服を買いに行く服がない」というネットの伝説が真実として成立してしまうじゃないか。
ブラックピット: 実際にあった話らしいんですよ。中国で発売されるコラボモデル、ちょっと欲しいかもしれません。いろんな意味で持っていると価値が出そうかな、と。
上司X: キミらしいねえ。それにしても今回のコラボ、白黒つけるのかそのままグレーなのか。今後に注目だな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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