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情シス視点から見たロボット管理で押さえておきたい3つのポイント――BTC湯川氏が語る

» 2018年12月25日 10時00分 公開
[相馬大輔RPA BANK]

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RPA BANK

IT製品情報サイトのキーマンズネットが2018年8月、企業の情報システム部門担当者らを対象に実施した「RPA導入に関する意識調査」によると、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を既に導入済みか、導入への具体的な計画や調査を進めているのは、全体(有効回答数:230件)の34.7%。取り組みの前段階で「興味がある」「どういうものか知っている」「名前は聞いたことがある」という回答を合わせると92.1%に達し、高い関心が明らかとなっている。

同調査で、導入企業と検討中企業に「RPAの具体的な導入を検討する際に障壁となるもの」を尋ねた設問(複数回答)では、費用面と並んで「ロボットの作成スキルがない」「作成したロボットの管理が煩雑」との回答が、ともに約4割を占めている。RPAじたいの技術知識と同等以上に「ロボットを実務にどう落とし込み、運用をいかに軌道へ乗せるか」という実践的な知見が求められているといえそうだ。

【RPAの具体的な導入を検討する際に障壁となるもの】

  • ロボットの作成スキルがない
  • 作成したロボットの管理が煩雑

こうした「情シス視点からみたRPA導入」に通じているのが、システムインテグレーター勤務とパッケージソフト開発を経て、現在RPA導入支援を手がける湯川政延氏(株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング執行役員)だ。

本記事では、2018年11月22日に東京で開催された「RPA DIGITAL WORLD 2018〜Digital Robot CAMP in お台場」にて、RPAの導入プロセスとツール選定方法について解説した同氏の講演からダイジェストを紹介する。

■記事内目次

  • 1)いきなり「100%」のロボット作成を狙わないこと
  • 2)社内外の「役割分担」を導入前に明確化すること
  • 3)「RPA内製化」を望む企業のツール選定で大切なこと

いきなり「100%」のロボット作成を狙わないことが大切

「ERP(基幹システム)パッケージの元開発責任者として、ERPで難しかった細かい対応が可能なRPAに可能性を感じている」。そう自己紹介した湯川氏はこの日、RPA導入プロジェクトの特色を、システム開発プロジェクトと対比する形式で解説した。

湯川氏によると、RPAの開発とシステム開発は「検証」に始まり「導入準備」から「導入」、さらに「運用・保守」に至る全体的な流れは共通している。いっぽう大きな相違点としては、RPAのほうが「開発期間が短く」「プロジェクトで業務部門の役割が大きい」ことが挙げられるという。

また同氏は、システムに比べてRPAは稼働開始後の改修が容易であることも指摘し「後からでも簡単に追加修正できる以上、いきなり『100点』は狙わず、むしろ速く進めていくほうが得策だ」と強調。従来人間が行っていた作業をロボット化する際には「あらかじめ業務分析をしても、一度で全ての作業パターンをもれなく洗い出すことができない」のを大前提に「さしあたり主要なパターンだけ押さえる」姿勢で進めるべきと説いた。

湯川氏はさらに、こうしたロボットの開発を担うエンジニアの業務イメージについても言及。RPAは1回あたりの開発が短期で終わるばかりでなく、設計の工夫で導入後障害が生じる頻度も相当低く抑えられるため、従来の情報システムでは別担当とする例が多かった「開発」「保守」を兼務することが可能だとした。

コンパクトでムダのない開発運用体制が敷けるRPAのメリットは、同時に「導入準備の段階から保守体制まで考えておく必要がある」(同氏)ことも意味する。RPA本来のコンセプトである「現場主導」の観点からは、ロボットの開発・保守でも社内人材の活躍がまず期待されるが、育成が間に合わない場合、外部人材による支援を早めに組み込まなくてはならない。

このときの依頼形式について、湯川氏は「問題や新規開発が発生するたびに一時的な支援を求めることもできるが、即応が期待しづらい。一定数以上のロボット化が見込めるようになった段階で常勤の開発者を迎え、随時対応の保守と兼務してもらうのが合理的だ」と述べた。

社内外の「役割分担」を導入前に明確化すること

この日の湯川氏のセッションでは、RPA導入プロジェクトで「業務部門の役割が大きい」ことが情シス部門に及ぼす影響についても詳しい説明が及んだ。

RPAは「業務の現場で」「あいまいな指示からでも臨機応変に動く人間同士が」処理してきた作業を置き換えるための手段だ。そのため、ロボット化のプロセスに参画する情シス部門は「現場に直接詳細を聞かなければ分からない事項が増えていく」という。

また、RPAツールはノンプログラミングで操作できることから、ロボットの作成や修正、保守などを情シスが担うのではなく、業務部門が自己完結する体制も想定しうるところだ。

それまで人間が行ってきた実務においては通常「パターンの組み合わせで表現し尽くすのが難しい判断」や「特定の担当者しか把握していない工程」、さらに「表記揺れを含むインプットデータ」が至るところにみられる。「指示されたとおりに速く・正確にこなす」のが身上のロボットで、これらをそのまま処理させることは不可能だ。

とはいえ「業務に潜む不確かさを洗い出す」「ロボットが踏む手順をはっきり指定する」「ロボット化で見込まれる効果を定量化する」「本格稼働後の不具合をリカバリーする」といった作業には、すべて新たな工数を要する。

これらのミッションを社内外の誰が担うかは、必ずしも自明でない。そのため、どのような役割分担とするかが情シス部門の実地での動き方、ひいてはプロジェクトの性格そのものを大きく左右することとなるという。

湯川氏は「分担に関する全社的な方針を、ロボット化のプロジェクトが動き出す前に決めておくことが重要だ」と呼びかけた。

「RPA内製化」を望む企業のツール選定で大切なこと

自社のRPA導入支援事業を通じ、国内で導入されている主要なRPAツールの強みを熟知している湯川氏(関連記事)。この日のセッションにおいても、ツールの選定ポイントを「システムとの技術的適合性」「プロジェクトの進め方と調達的側面」「内製化のための必要条件」の3点からまとめ、それぞれの詳細を実際の導入事例に即して解説した。

【RPAツール選定の3つのポイント】

  • システムとの技術的適合性
  • プロジェクトの進め方と調達的側面
  • 内製化のための必要条件

このうち、現状の社内人材だけでロボット開発を行う「内製化」が優先事項である場合のツール選びには、独特の方法があるという。具体的には、ロボットの内製化を目指す企業は、まず導入候補となる各ツールに関して、自社メンバーで使いこなせる機能を明らかにする。その上で、自社で実現したいロボット化において必要となる機能を整理し、両者を突き合わせるのがよいという。

湯川氏は「両者が重なるエリアの大きさから『ここまでできるなら』という、もっとも自社に適したツールが明らかになる」と解説。「一般的なツール選定の要素である、ツール自体の性能やサポート体制と同等以上に『自社メンバーの能力で、どこまでのことができるか』をポイントに選んでほしい」とアドバイスしていた。

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